[chat] 20090506-1

2009/05/06 [1]

シノフサさん(仮)
「んじゃ早速だけど」
玄兎
「はい」
シノフサさん(仮)
「前にあれ、落語と講談の違いっての話したでしょ?」
玄兎
「やったね」
シノフサさん(仮)
「それで質問なんだけど。落語ってゲームで遊べる?」
玄兎
「ああ、いいところ突く」
シノフサさん(仮)
「遊びにくいよねえ」
玄兎
「不可能じゃないだろうけど、テンプレが逆を向いてるよね。講談の方が適性は高いよ」
シノフサさん(仮)
「やっぱり(笑)」
玄兎
「文法が違うってか、落語っていのは負けるが勝ちの部分があるっしょ。いわゆるオチだね。でもゲームってのは勝たないといけないし、勝つことを目指すわけで」
シノフサさん(仮)
「負けるが勝ちのゲームって無いの?」
玄兎
「ありますよ。TRPGで言えばクトゥルフなんかは負けるが勝ちだよね」
シノフサさん(仮)
「(笑)クトゥルフは落語?」
玄兎
「かなり近いものはあると思ってる。ギャグプレーしやすいしね。まあ真面目に話すと様式美と、弱さの表明。弱さが滑稽さに通じるわけだけど、滑稽さっていうのは立派な芸なんだよ。古くは滑稽芸なんて言葉もあって、それはまあ猿楽に飲み込まれちゃったわけで、今で言うと物真似になるのかな。西洋だとクラウンやパントマイムなんかが該当するんだろうけど、まあこの辺は詳しく語り始めると止まらないんで保留。天井桟敷の人々の冒頭10分くらい見れば、あの種の芸がどれだけ表現力を持ったものかは理解してもらえるんじゃないかな。ジャン=ルイ・バローの演技の恐ろしさと言ったら」
シノフサさん(仮)
「天井桟敷の人々って?」
玄兎
「あ、そか。シノフサ古典映画は無かったんだっけ。愛し合うもの同士にはパリすら狭い。クラシックで、モノクロの、大長編映画。はっきりいって、全部通しで見るのは止めといた方がいい。長すぎるんで二幕構成になってるくらいです(笑)」
シノフサさん(仮)
「旦那は見たの?」
玄兎
「台詞回しが絶妙でね、うっとりできるよ。DVD貸そうか?」
シノフサさん(仮)
「よろしく」
玄兎
「はい」
シノフサさん(仮)
「それで、それとクトゥルフが?」
玄兎
「いや、天井桟敷は寺山修司の方。クトゥルフとつながってるのは落語(笑)」
シノフサさん(仮)
「そうだった。様式美と滑稽さだっけ」
玄兎
「そうそう」
シノフサさん(仮)
「クトゥルフはやったことないんだけど、どんな感じなの?」
玄兎
「強い言語型の神話かな。エリアーデの神話」
シノフサさん(仮)
「儀礼を通じて体験される知識ってやつ?」
玄兎
「そうそうそれそれ。まずクトゥルフ神話の体系があって、TRPG版はそれに対する儀礼だと思ったらエリアーデに適合しそう。神聖っつーより邪悪だけど。馬鹿笑いしながら遊ぶし(笑)。コズミックホラーのムードを楽しんだり、馬鹿笑いしながらパターンを演じたりする。徹底した構文がまずあって、それに沿いながら破滅するのを楽しみます。クトゥルフの妙味は、ひたすら狭いパワーバンドにあると思うんだけどね」
シノフサさん(仮)
「バイクの?」
玄兎
「それ。クトゥルフで一番難しい、一番ナイスなプレーとされるのが、真実を知りながら正気を保って災いを脱することだと思うんよ。イメージとしては、見晴らしのいい公道をマシンの加速力だけで暴走トラックから逃げ切るとか。逃げるだけなら、例えばトラックが入れない細い裏路地に逃げ込めば逃げるのは簡単だったりするんだけど、それでは興ざめなんだな。あくまでパワーで追跡を振り切る必要がある」
シノフサさん(仮)
「そうすると、見晴らしのいい公道ってのが構文?」
玄兎
「です」
シノフサさん(仮)
「破滅ってのがトラックにつっ通ることだとすると、減速すれば簡単に掴まる?」
玄兎
「あい」
シノフサさん(仮)
「加速が足りなかった場合は?」
玄兎
「追いつかれてカマ掘られますね」
シノフサさん(仮)
「実際の表現はどうなる?」
玄兎
「路地裏に逃げ込むのは、単純にその事件に首を突っ込まないで終わるパターン。減速して掴まるのは、真実に近付きすぎて被害者になるパターン」
シノフサさん(仮)
「なにそのチキン探偵(笑)」
玄兎
「チキン探偵っていいなあ(笑)。チキン探偵は許されんのです。ちゃんと事件には首を突っ込んで、あとは出されたギミックに対して正しく反応していくことが、クトゥルフのストーリーを楽しむ手法だあな」

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