[column] PC 設定と「参加者の承認」

 『背景設定の有効化フィルタ』シリーズ 4 回目は、「参加者の承認」フィルタについて。
 うまく図が作れない……なんか上手い方法を思いついたら後ほど追加するかも(^^;

「参加者の承認」フィルタとは

 「参加者の承認」フィルタとは「参加者同士のゲーム認識のすり合わせを目的としたクロスチェック」です。
 「舞台設定」フィルタの範囲に、更にこのフィルタを重ねて絞り込みを行います。

「ゲーム認識」について

 ここで言うゲーム認識とは、「プレイヤーがそのゲームをどのように遊ぶものだと考えているか?」ということです。
 たとえば「参加者が一丸となって目的を達成するゲーム」と考えているのか、それとも「個々人の目的を達成するために他の参加者と競うゲーム」と考えているのか……といった傾向分類が中心になります。

協力するゲームの場合

 もし前者、「参加者が一丸となって目的を達成するゲーム」で、PC 同士の仲がすぐに険悪になるような設定が持ち込まれた場合、ちょっと都合が悪い。

 もちろん「仲が悪かった二人が最後には協力する」というストーリーもありえるんで、全く NG というワケではないんですが、それはプレイヤー同士がそれを企図していないと難しい。
 それこそ SW のバブリーズ編(キャッスルわらしべ?)のように、気心知れたプレイヤー同士だったら上手くプレーできるわけですが、プレイヤー同士があまり面識がなかったりすると関係がこじれて面倒なことになるので、避けた方が無難でしょう。

競争するゲームの場合

 また逆に後者、「参加者同士が個々の目的を達成するために他の参加者と競うゲーム」で、PC 同士がやたらと仲良しだったりしても、ちょっと困ります。

 たとえば PC が警官と泥棒で、泥棒は警官から逃げつつ盗みを働く、警官は泥棒を逮捕することがゲームの目的なのに、「泥棒 PC は警官 PC のことが好きで手柄を立てさせるために自首しちゃう」とかでは困るわけです。
 ゲームにならない(笑)
 そういうときは、たとえば「好きだけど捕まるのはイヤだから、別の手柄を立てさせる」といった具合にゲームが成立するよう編集するか、「警官 PC のことが好き」という設定を放棄しなくちゃならんわけです。

 協力、競争、どちらにせよ最終的には参加者同士で「それでもゲームを円滑に進められるか?」を考えて、お互いに譲り合える部分は譲り合うよう相談します。
 言い換えれば「ゲームに合わせて PC 間の関係を調整する」ってトコでしょうか。

その他の判定基準

 「参加者の承認」でフィルタリングする主目的は「ゲーム認識のすり合わせ」ですが、実際にはもうちょっとメタなすり合わせも含まれます。
 たとえば「誰が主役を張って、誰が脇役に徹するのか」とか、「この人は初心者さんだからフォローが必要だろう」とか「あの人の設定はクセが強いけどベテランだから放っておいても大丈夫だろう」とかいったものです。

 主役と脇役の役割分担がシナリオの内容に絡んでくる場合、ゲームマスターのチェックも必要になります。
 またプレイヤーのゲーム経験や技量、それから参加者間の人間関係――日常的な交流があるかどうか、とか――なんかについても実際のゲームでは重要になるので、これらのチェックも「参加者の承認」フィルタで行われることになります。

「参加者の承認」フィルタの問題点

 こうした参加者同士のクロスチェックは、裁定基準が無いために、往々にして「声の大きい人」の意見が通りやすいという問題点を持っています。
 自分のゲーム経験を振りかざして初心者にアレコレ口出しをする人や、なんだか良く分からない理論で相手を丸め込もうとする人、自分のワガママ設定を通すために相手の設定を捻じ曲げようとする人など、問題児が大量発生するのもこのプロセスです。(ああ、耳が痛い)

【余談 ~ 調停者としてのゲームマスター】

 ここからは僕自身のマスタリング・ポリシーなんですが。

 「参加者の承認」フィルタでは、ゲームマスターは大人しくしてます(笑)。「舞台設定」の段階でゲームマスターとしての見解は直接的、間接的かは別として、伝えているわけですから、あとはプレイヤーに任せておけばいいと思うので。いいとこ、プレイヤーから質問があったときに答えるくらいでしょう。
 しかし前述のような問題児が現れたとき、最終的にゲームマスターが調停する必要が発生するケースがあります。

 一方的な押し付けや、お互いが譲らないような状況が悪化しそうになったとき、ゲームマスターは最初の強権を発動することで、これを治める仕事があると考えます。
 このときゲームマスターは、「舞台設定」フィルタリングの過程で各プレイヤーから聞いた話――特に原設定(=思い入れ)について――を材料に、誰がどこまで譲るか、あるいはどちらも設定を変えないで良いか、などを判断して各プレイヤーに告げるわけです。

 あるいはプレイヤーにとっては不満の残る結果になるかもしれませんが、ゲーム中のトラブルを予防したり、プレイヤー間でトラブルが発生することを避けるためには、有効な手段であると考えられます。
 少なくともプレイヤー間でマジ喧嘩やらかすよりは、ゲームマスターが憎まれ役を引き受けておいた方が、まだゲームはスムーズに進行できますし。(程度問題ではありますが。極論すれば不満をブチブチ言い続けてゲームの空気を悪くするプレイヤーには、退場を言い渡すことも出来ないわけじゃあないし)

 もっとも、マスタリングに自信があったり、プレイヤーに全幅の信頼を置いていたり、「自由に遊ぶ」ことを目的として「管理」しない方針であるなら、ゲームマスターはあえて介入しない、という選択もあります。