[chat] 20100731#2

レレレの話

玄兎
「日本の場合は今までの流れに、更にひとつの海外タイトルがクッションに入って、ドラマチックゲームが一般化の流れが出てきたんで、ちょっとその辺は事情が違うかも知んない」
シノフサさん(仮)
「海外タイトルに影響を受けたってこと?」
玄兎
「この辺は根拠がないんだけどね。たぶん、そうだと思う。そのクッションに入ったタイトルってのが、『イット・ケイム・フロム・ザ・レイト・レイト・レイトショー』。いわゆるレレレって言われるやつで、三流俗悪映画の逆襲、とかなんかそんなサブタイが邦訳で付いてた気がする。前にやんなかったっけ?」
シノフサさん(仮)
「やってないと思う」
玄兎
「じゃあ今度やりましょう。馬鹿だから」
シノフサさん(仮)
「馬鹿なんだ(笑)」
玄兎
「馬鹿です。たぶんシノは好きだと思う。ネタ元の映画を見てから遊んだほうが、変な盛り上がり方して面白かったりするんだけど。ああ、でも最近の映画の傾向だと難しいかもなあ。もっと昔のショック映画系の、荒唐無稽な流れをベーシックにしてるから」
シノフサさん(仮)
「スプラッタとか?」
玄兎
「そうそう。サム・ライミが好きそうなやつ(笑)」
シノフサさん(仮)
「(笑)よく分かった。そもそもどんなゲームなわけ?」
玄兎
「ゲームとしては、映画をベースにね、GMがディレクターで、プレイヤーがキャストになるわけ。んで、一本の映画を撮るってシチュエーションで遊ぶんだけども」
シノフサさん(仮)
「PCが更に役を演じるってこと?」
玄兎
「オフコース。まあメジャーどころで説明すると、『スクリーム』を題材に『最終絶叫計画』を撮っちゃうような感じ。『スターウォーズ』を元ネタに『スペースボール』でもいいや。メタギャグ入りまくり」
シノフサさん(仮)
「僕のフォースがナニなんだ(笑)」
玄兎
「お前なあ。まあとにかく、そういうもんなわけ」
シノフサさん(仮)
「それが何でクッションになるわけ?」
玄兎
「いくつかあるんだけどね。ちょっと長くなるけど、いい?」
シノフサさん(仮)
「何を今さら(笑)」
玄兎
「(笑)まあそうなんだけど、一応ね。じゃあ説明するけど、まずこのレレレのワールドセットについて。これは低予算映画を撮るってゲームです。これはさっき言ったっけ。で、低予算だからCGもSFXも無い。全部体当たりでやんなきゃだめ。スタントもなるべく使わない。キャストが増えると金がかかるから。つまりキャストは監督のムチャ振りに体当たりで答えないといけない」
シノフサさん(仮)
「それってやんなきゃ駄目なわけ?」
玄兎
「基本的には。だって監督の指示だし。ただしここでブレイクスルーがあって、キャストは出来る事と出来ないことがあるし、危ないことなんかやりたくない。ここでキャストの格が関係する」
シノフサさん(仮)
「格?」
玄兎
「要するに人気だわな。たしかそのまんま人気ってパラメータがある。で、そいつを使って監督に、そんなアクション出来るか、とクレームを付けることが出来る。最悪ボイコットまでできる」
シノフサさん(仮)
「なるほど」
玄兎
「つまりプレイヤーがシナリオに干渉できる」
シノフサさん(仮)
「あ、そういう話」
玄兎
「うん。だからさ、まあフレームとしては全員で映画を作るっていう体制になる。でもまあ人気の無い役者が何言ったって、だったら降板してもらうよって言われたら生活していけなくなるわけで、人気の無い役者は言われたムチャ振りに答えなきゃいけない」
シノフサさん(仮)
「それって人気のあるPCが、他のPCの出番にクレーム付けたりも出来るわけ?」
玄兎
「理論的には。国内だと同人の、シニバラのファッキンチップにつながっていくような遊びで、そういえばあれも古い映画をモチーフにしたデザインなんだけど。でさ、この遊び方ってのが、ものすごい大きな意味を持ったわけ。日本では。バカゲー扱いだったものをまっとうに評価した人たちがいたせいで、おもいっきり化けた」
シノフサさん(仮)
「どういうこと?」
玄兎
「ひとつはさっきのプレイヤーがシナリオに直接介入するってこと。この辺はゲームマスターが直接ワールドシミュレーターとして全ての演算を司ってた、言い換えると押し付けられてた役割をひっペがした。即興、アドリブによって語られることの面白さ、イレギュラーの面白さ、数理から離れたコミュニケーションの遊びの面白さを具体的に容認した。それまでは単にルールよりもノリを大事にしよう、みたいな、いいとこお題目程度のものだったのが、それをゲームのルールにしてもいいっていうお墨付きを与えた」
シノフサさん(仮)
「ルールがあるの? それって」
玄兎
「厳密にはルールというより遊び方、プレイングガイドとして記述されることになったんだけど、それがいわゆるフェイズプロセッション形式の、シーン管理の話。プレイヤーはシーンを提案できるっていうのがある。これ、昔から遊んでる人には単に、PCの行動宣言を割り込ませるだけ、くらいのニュアンスで取られたりしてて、革新的な直接介入のプレイングは概ね無効化されてるっぽいんだけど。ダブルクロスのルールブック2を見ると、プレイヤーはシーンの狙い、そこで何がしたいのか、登場して欲しいPCとNPCなんかについてGMに伝えるべきだ、とかそんな話がある。これってそのまんま、レレレの監督の仕事なわけ」
シノフサさん(仮)
「ふんふん」
玄兎
「あともうひとつがね、配役を渡すってこと。プレイヤーに」
シノフサさん(仮)
「それが何の意味が?」
玄兎
「うん、だからさ。これまでシステム依存だった、配役によるストーリードラマデザインを、個別ハンドアウトって形で切り離すことで、どんなシステムでも使えるプラグインにしたって話」
シノフサさん(仮)
「ああ。あーあーあー。キャスト表にしちゃったってこと?」
玄兎
「そういうこと」
シノフサさん(仮)
「やるじゃん、レレレ?」
玄兎
「うん。レレレ。バカゲーだと思ってたら奥深かったって言う。でも遊ぶときはバカゲー扱いなんだけどね(笑)」
シノフサさん(仮)
「(笑)そこは変わんないんだ」
玄兎
「変えたら駄目でしょう(笑)。まあそれは置いといて、このキャスト表を配るって方法を使おうと思ってるなら、その問題点についても分かっといて欲しい。ひとつ、大きな穴がある」
シノフサさん(仮)
「穴?」
玄兎
「穴っていうのは可哀想かもしれないんだけどね。まあ、ゲームシステム密着型に比べた弱さって話。あんまり過激なことが言えないんだよ」
シノフサさん(仮)
「過激なこと? どゆこと?」
玄兎
「そのまんまの意味。ゲームシステムの中でセットされてるカルト、クラン、部活、委員会、まあ何でもいいんだけど、そういったオピニオンのパッケージがデザインされてるゲームシステムに比べて、個別ハンドアウトでデザインできるオピニオンの範囲って、かなり限られるんだよ。なんでかったら、ゲームシステム上デザインされたナラティブロール、物語上の役割については、ゲームシステムについて読み込んでる間にユーザー各自が研究できるから。研究して、自分なりの解を出して、納得してゲームに臨む。準備期間があるから、突拍子も無いナラティブロールもわりと自然にプレイできるんだ。でもさ」
シノフサさん(仮)
「あ、そゆこと。個別ハンドアウトの場合は、渡されたロールについて研究してる時間がないって?」
玄兎
「そ。ちゃんと予め用意して、プレイヤーにも研究する時間を与えれば、防げる話なんだけど。あとは単純に、ゲームシステム上のロールに比べて選択できる幅が狭い。なんせ用意される個別ハンドアウトの枚数が少ないんだから。それを突拍子も無いデザインにしちゃったら、遊びたいと思ってたロールが選べなかった人には不満が出るだろうし、研究する時間もないから」
シノフサさん(仮)
「無難なカードを出すしか無いじゃん、てこと?」
玄兎
「そういう話。ちゃんと時間をかけて、予めプレイヤーとも綿密に打ち合わせられる環境なら問題はないんだけど、そういう環境でなかった場合、だからほとんどハッチャケらんないんだよ。お陰でもっと相互が衝突し合いながら、結果として運動がある範囲に収まるっていう、そういう奇跡みたいな遊びはほとんど発生しなくなっちゃった。最初っから収束してるから」
シノフサさん(仮)
「旦那の嫌いなタイプでしょ」
玄兎
「そうだね。まあ遊ぶことは遊ぶんだけど、遊びとしては正直あんまり面白くないんだよね。緊張感がないって言うか、もっとブンブン振り回してくれないと(笑)」
シノフサさん(仮)
「ドM(笑)」
玄兎
「Mじゃねえっつの(笑)。まあとにかくさ、そんな流れで個別ハンドアウト、フェイズプロセッション形式、シーン制、そういうモデルが標準化されてった。それでモデルが標準化されたことで、ゲームシステムとプレイスタイルが乖離しちゃって、タイトル別の面白さっていうのが薄れちゃったなあ、ていうのがあるわけ。セッションの事故を、想定外の破綻を防ぐにはいいんだけど、そういう破綻したときこそがチャンスだって考えもあって」
シノフサさん(仮)
「そういう方が好きってこと?」
玄兎
「そういうこと。この辺は個人の趣味とか、セッションに対する認識の違いなんだろうけどさ。失敗も成功も、必死に遊んだセッションなら、時間が経てば楽しい思い出になるんだよね。逆にガチガチにおさえつけられて、遊ばれたんだか遊ばされたんだか分かんないような経験なんかは、忘れちゃう。忘れちゃうようなセッションはしたくないわなっていう」
シノフサさん(仮)
「なんか時間の無駄だなあ、て思うセッションってあるじゃん? なんもかんも予定調和に収まってて、GMもプレイヤーも淡々と進めちゃってるみたいなの。そういう話?」
玄兎
「そんな感じかなあ。そんなんだったら、僕はまだ接待プレイの方が好きだけど。接待プレイの場合、相手を必死こいて持ち上げなきゃいけないから。楽しませることに必死になるのは楽しいよ」
シノフサさん(仮)
「やっぱマゾでしょ(笑)」
玄兎
「だから違うっちゅーに(笑)。だって誰にでも接待プレイしたいわけじゃねえし。そうしたいと思う相手かどうかってのは重要なんだよ。いやまあ愚痴ってもしょうがないから話戻そう」
シノフサさん(仮)
「はーい」

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