コメント欄の方で、興味深い質問が来ていましたので、エントリ立てて答えてみたいと思います。
オンラインではどうですか?使えそうですか?改良が必要ですか?
([RtoL] 『Wローズ』を読んだよ :: コメント欄より)
『Wローズ』をオンラインセッションで遊ぶとき、そのまま遊べるかどうか? ということについてです。まだルールブックを読み込んだわけではないので、勘違いとか見落としなんかもあると思いますが、お気付きの点は指摘していただければ幸いです。
ページの内容
オンラインで『Wローズ』を遊ぶための“場”
『Wローズ』は従来の TRPG に比べ、プレイヤーの[語り]の文が長くなる傾向にあります。ですからオンラインで遊ぶとき、それが出力/共有しやすい“場”であることが求められるかと思います。また逆に、[語り]をそのままに保存できる点から、オンラインセッションは『Wローズ』を十全に楽しむ上で、有効な環境だとも思います。
一枚のチャットや掲示板だけで回すのは、[語り]とそれ以外の発言の区別がつけにくいんで、個人的には
- [語り]用の掲示板
- それ以外のやり取りをするチャット
みたいな形で分けてあると良いかな、と考えます。
別の管理方法もあるかもしれませんが、とりあえず僕はこの体裁でやってみたいと思ってます。
[言葉選び]の方法
次に課題になるのが[言葉選び]の方法ですが。
これを[指さし法]で回すか、『Wローズ』のルールブックを使った[ランダム法]で回すかによっても大きな違いが有るように思います。
[言葉選び]をオンラインで行う上での課題は、
- どうやって[言葉選び]を行うか
- どうやって[言葉選び]の結果を伝えるか
- どうやって[言葉選び]の結果を確認するか
この三点があると考えます。
1. どうやって[言葉選び]を行うか
そもそもどうやって[言葉選び]を行うのか、という課題があります。
ルールブックで提示されている方法として[指さし法]と[トランプ/ダイス-ランダム法]とがありますが、どちらを使うかで用意するものが異なります。
[指さし法]であれば、参加者各自が使用する「てきとうな物語本」を手元に用意すれば、話は済みます。
[ランダム法]であっても、ルールブック、トランプ、サイコロを手元に用意すればいいでしょう。あるいはチャットや BBS などにトランプやサイコロの出目を出力してくれるものもありますから、そういったツールが使用できるなら、参加者が用意するのはルールブックだけで済むことになります。
2. どうやって[言葉選び]の結果を伝えるか
実際に[言葉選び]を行った結果を、どのように他の参加者に伝えるのか? という課題です。
これは[ランダム法]で、かつチャットや BBS でトランプやサイコロの結果を自動的に出力している場合、特に課題にはなりません。
あるいはビデオ通話を使っていれば、結果をそのままカメラで見せる、という方法もあります。
問題はそうしたツールが使えなかった場合、また[指さし法]を使った場合、その結果をどうやって伝えるか?
基本的には参加者の自己申告に任せることになります。
3. どうやって[言葉選び]の結果を確認するか
で、[2]の結果をどうやって他の参加者が確認するか? ということになります。
これは参加者が互いに信頼していれば、特に確認しなくても構わん話です。
逆に「意地悪されてるのでは?」とか「勝手に都合のいい言葉を作ってるのでは?」とかいった嫌疑を持つようだと、お互いに楽しく遊べなくなってしまう可能性もありますんで、フェアプレイの保証として「確認が出来ること」が必要になるかとも思います。
確認することの意義とツールの必要性
これはあくまで私見になりますが、ゲームとして『Wローズ』を扱う/遊ぶ場合、フェアプレイの保証はなるべく取れている必要があると思います。それは『ローズ・トゥ・ロード』がシリーズを通じて綿々と紡ぎ続けてきた「システムに振り回される」――より修辞的に表現すれば「混沌の中から宝石を掴みとる」――楽しみを、最大限に生かすために必要なものだと考えるためです。
このフェアプレイの保証、オフラインで遊んでいればすぐに確認が取れますし、確認するだけでネタになるのがチャートを振る面白さでもあります。クリティカル表やファンブル表などが搭載されたシステムで遊んでいると、その結果によって一喜一憂する、なんてのは何処でも見られる光景でしょう。
こうした楽しみは、パーティゲームとしての TRPG の特性の一つと考えます。
また実際に『Wローズ』を遊んだ感想としては、[言葉選び]のチャートを確認しながら「自分ならどう[語る]か」を考えたり、「相手がどう[語る]か」を想像するのも、このゲームの楽しみの一つになっているように思いました。
オンラインで行う場合、その確認が取れれば同じ効果が期待できますが、それが出来ないと盛り上がるキッカケが一つ減ってしまうことになります。
そうした点から、なるべくフェアプレイを保証するためのツールが必要になると考えます。
ツールが用意できないときは
ツールが用意できないときは、「風読みなし/風読み分担/風読みあり」プレイ(p.60)のそれぞれの特性について考えて選択する必要があるでしょう。
風読みなし
[言葉選び]を自分で行うので、確認はできませんが平等でもあります。
風読み分担
これを行う場合、順序の決め方によって遊び方が変わってきます。
例えば「時計回り」で進めるなら、[風読み]の次にそのまま PC として行動しますから、[語り]のつながりを意識することが出来るようになります。
また「反時計回り」でも PC の行動後に[風読み]の[語り]を続けることになりますから、自分の行動の後始末をしてバトンタッチが出来るようになります。
座り順に「一席飛ばし」で進めると、[風読み]と PC の役割が連続しないので、参加者への負担が分散して全員参加のムードが強くなります。
風読みあり
[言葉選び]まで[風読み]が行えば、フェアプレイの保証は[風読み]の責任によることになります。
最後に ~ 『Wローズ』習熟の過程において
オンラインで遊ぶときの強みの話になりますが。
実際に遊んでみた感想として、『Wローズ』の遊び方はかなり敷居が高いとも感じました。そこで更に[言葉選び]を最大限の振幅で扱うのは、初めて遊ぶ人たちには少々厳しいものがあるのでは? とも思います。
ですから最初は「言葉の抜き出し方」(ルールブック p.19)にもあるとおり、状況に応じた調整が重要になるかと思います。
オフラインで遊ぶ場合、セッションに費やせる時間は限られているため、一人ひとりのプレイヤーが[語る]回数を減らして一回の[語り]に時間をかけるようにするか、無理のある[語り]を受け入れながら即興性を重んじてテキパキ回すかを選択することになるでしょう。
ところがオンラインで遊ぶ場合、特に掲示板プレイをするのであれば、プレイ時間の縛りが相当にゆるく長くなりますから、長い[語り]と長い物語のセッションを両立させることが可能になります。これは明らかにオンラインの強みと言えるでしょう。
また、オンラインで[語り]のトレーニングを積んでおけば、オフラインでの即興芸にも相当役立つように思います。
余談(笑)
あと、まあこれは余談ですが、以下の一文から「『Wローズ』ってオンライン意識してるかも?」と思ったのは穿ち過ぎでしょうか(笑)
その場にいなくても各種通信でつながれれば[風便り]は可能です。
(『ローズ・トゥ・ロード』ルールブック p.59)