前エントリ「プレイヤーという英雄」では「ゲームで英雄になるのはキャラじゃないよプレイヤーだよ(大意)」という話を書いたわけですが。
今回はそれを継いで、実際どうやって遊んだらプレイヤーが英雄になるのか? 英雄の英雄たる“困難を乗り越えて何かを成し遂げる”行動をどうやって引き出すのか? それについてルール化した、一種のメタゲームのルール紹介です。
ページの内容
介入ゲーム
介入ゲームとは、プレー中に発生した“プレイヤーが干渉できなかったイベント”に対して異議を申し立て、そのイベントにプレイヤーが介入することで、ゲーム内の事実を改変するゲームです。
実際にどのような手順で進められるのか、から説明します。
介入ゲームの手順
介入ゲームの提案から実行、結果の反映については基本的に以下の手順で進められます。
介入ゲームの手順
- セッション中、プレイヤーが容認しかねる“干渉不能イベント”が発生する
- それに対してプレイヤーが「介入」宣言をする
- 該当イベントは、結果の分からない形でゲーム外へ退場
- セッションはそのまま続行
- セッション終了後、介入したプレイヤーと相談して、該当イベントにどうやって介入するかを決定
- 該当イベントの改竄を目的としたセッション(介入ゲーム)を実施
- 介入ゲームの結果を、最終的な結果としてキャンペーンに反映する
基本はこれだけ。
もうちょっと具体的に説明すると、おおむね次のとおりになります。
1. セッション中、プレイヤーが容認しかねる“干渉不能イベント”が発生する
干渉不能イベントというのは、前述の“プレイヤーが干渉できなかったイベント”というやつです。プレイヤーサイドの感覚で言えば「シナリオの都合で決まっちゃってた話」とか「ゲームマスターの脳内で完結しちゃってる話」が該当します。フェイズプロセッション方式における「マスターシーン」なんかも近いでしょうか。
2. それに対してプレイヤーが「介入」宣言をする
1のようなイベントが気に入らなかった時、プレイヤーは「介入」とか「異議あり!」とか、まあコールについては何でも構いませんが、とにかく「介入ゲームを要求する」ということと、その目的についてゲームマスターに伝えます。
3. 該当イベントは、結果の分からない形でゲームから隔離
[2]をゲームマスターが承認したら、介入ゲームを要求されたイベントは、その結果を曖昧な状態にしてゲームから隔離させます。
4. セッションはそのまま続行
該当イベントが後のシナリオ展開に大きく関係する場合、プレイヤーが宣言した目的から外れないようにハンドリングしつつ、ゲームを進行します。
たとえば「NPC の死」というイベントに介入ゲームを発生させた場合、シュレディンガーの猫よろしく「NPC は死んでいるかどうか分からない」状態になりますが、継続されるセッション中は、生死は不明だが死んでいるものとして扱います。
また、たとえば「死」について意義を唱えた時、しかし死んだキャラがそのままシナリオ中に埋葬されたりすると、介入した場では生きてたのに生き埋めにされちゃったー! とか笑うに笑えない状況になってしまいますので、そういう場合は埋葬イベントなんかもゲームマスター側からは行わないようにハンドリングします。
5. セッション終了後、ゲームマスターは介入したプレイヤーと相談して、該当イベントにどうやって介入するかを決定
セッションが終わったら、その結果を踏まえて「誰が・何について・どんな目的で・どうやって」介入するかを具体的に相談します。このときゲームマスターは、イベントに関する前後の事情を説明するなどして、プレイヤーに「何故イベントのような結果になったのか」を説明します。プレイヤーはそれを踏まえて、「どのようにイベントの前提条件をひっくり返すか」について検討するわけです。
ただし、その内容はプレー済みのセッションの結果がまるで無駄にならないよう、工夫する必要があります。たとえば「NPC が PC を庇って胸に銃弾を受けて死亡」というイベントであれば、「実は NPC の胸ポケットには金属板が入ってて銃弾を受け止めてくれたんだ! けど僕らはてっきり NPC が死んだと誤解しちゃったんだな」とかいった具合に。
6. 該当イベントの改竄を目的としたセッション(介入ゲーム)を実施
[5]を前提にシナリオデザイナーはシナリオを作成し、実際にプレーします。
このとき使用されるプレイヤーキャラクターは、必ずしも元のセッションで使用したキャラクターである必要はありません。原則的には元セッションで使用したキャラクターと同じか、それより弱いキャラクターを使ってプレーされます。
7. 介入ゲームの結果を、最終的な結果としてキャンペーンに反映する
介入ゲームの結果を、最終決定としてキャンペーンに反映し、プレイヤー諸氏に伝えます。
以上となります。
しかしまあ、こうした介入が毎回行われるようでは、キャンペーンがちっとも進まない(笑)という弊害も生まれますので、次のような制限をつけています。
介入ゲーム用リソース:介入権
プレイヤーは、いつでもどこでも介入ゲームを提案できるわけではありません。それではシナリオが虫食いだらけになってしまって、話がちっとも進まない、ということになってしまいます。
そこで介入ゲームを提案するには、まずその権利を勝ち取らなければならない……というルールを追加します。
介入ゲームを提案する権利は、そのまま「介入権」と呼ばれます。
これはプレイヤー所有の消費型のリソースで、1回使えば消えてしまいます。
取得方法は、以下の通りです。
介入権の獲得方法
- 参加者の半数以上が認める、優れたプレーで英雄的な活躍をした
- 3回以上、自身がゲームマスターを務めた
- ゲームマスターが用意した非常に高難度の課題をクリアした
これについても簡単に説明すると。
1. 参加者の半数以上が認める、優れたプレーで英雄的な活躍をした
これは一回のセッションの中で、プレイヤーが優れたプレイングで英雄的な活躍をしたとき、参加者の半数以上(2名以上)がそれを承認することで、ゲームマスターから発行されます。
この中で定められた“優れたプレイングの基準”については、プレイグループやゲームタイトル次第で変化します。ただし、あまり乱発されてもゲームマスターも困りますんで、ある程度のガイドラインは話し合って決めておいた方がいいでしょう。
2. 3回以上、自身がゲームマスターを務めた
これは別のセッションで 3回以上、ゲームマスターを務めたプレイヤーに与えられます。ただし倍以上の回数、たとえば 6回ゲームマスターを務めたから 2回分の権利になるかどうかは、プレイグループで相談するか、キャンペーンマスターの判断になります。
内輪ではプレー頻度から 3回としていますが、この回数は頻度によって変えた方がいいでしょう。
3. ゲームマスターが用意した非常に高難度の課題をクリアした
ゲームマスターは難しいし、他の参加者にはイマイチ認められづらいプレースタイルのプレイヤーは、ゲームマスターに「介入権を得るためのゲーム」を要求します。これはノーミスや、会心のアイディアによってのみ完全にクリアできるような、難易度の高いシナリオにしておいた方がいいでしょう。
大体こんな具合で、介入権をプレイヤーに発行します。
前述の通り、介入権は消費リソースなので、1回使ったらまた上記のどれかによって権利を取得しなければなりません。
介入権の譲渡
介入権は、他のプレイヤーに譲渡することが出来ます。
セッション外で譲渡する時は、キャンペーンマスターに報告しなければなりません。
また、セッション中に譲渡することも可能です。たとえば権利者はスルーしたけど他のプレイヤーが介入したい……ということになった場合、権利者は自分の介入権を譲渡することで、そのプレイヤーが介入ゲームを提案できるようになります。
介入ゲームの絶対法則
介入ゲームについて、二つの絶対厳守のルールがあります。
それは「ひとつのイベントに対しては、1回しか介入ゲームは出来ない」というものと、「介入ゲームに介入することは出来ない」というルールです。
理由は単純で、そうしないと泥沼になるから(笑)
で。
……えーと、まあこんなところですか。
この後「何を目的にこんなルール作って遊んでるのか」とかのポリシー話を書こうかと思ったんですが、ちょっと時間が取れなさそうなのでまた後日ってことで。
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