前エントリ『シナリオ記法・補記(2)』に頂いた accelerator 氏のコメントから気付いたこと。
書かれたシナリオ、あるいはシナリオを書くことには、2つの目的がある!
……うん。
当たり前の話なんだろうけどさ。
わかってた(笑)
でもなんかこう、「あ、そうだった!」ってこう、ドーンと来たから。
あ、はい。ちゃんと説明します。
ページの内容
シナリオ記述、二つの目的
……ってことで、シナリオ記述には二つの目的があるんだなァ、と思ったんですが。
二つの目的ってのを明文化すると、まあ、こんな感じかな。
- シナリオイメージを鮮明化し、ゲームマスターの脳内に構築する
- シナリオ進行を制御するために、セッション中に運用する
なんか難しい話を書きたくなっちゃうところだけど、それは止めにして(笑)
今回は「ゲームマスターのシナリオ準備」について考えてみることに。
1. シナリオを「読む/作る」 (Scenario image setting)
既に書かれているシナリオを読む。
または自分でシナリオを作る。
「ゲームマスターがシナリオを準備する」最初の行動は、このどちらかになります。
ここでは「どういう流れでシナリオが進むのか」が準備されます。
僕のシナリオ記法では、これは「あらすじ」、「フローチャート」、「エンディグランク」によって記述されます。(このうち「エンディングランク」については、最良、または最悪のどちらかで十分です)
2. シナリオを「理解する」 (Build scenario model)
セッションの準備として、特にシナリオを準備する際、最も重要なことは「ゲームマスターがシナリオを理解する」プロセスだと考えています。
理解とは「理(ことわり)によって解く」ってことです。
このプロセスで、ゲームマスターは頭の中にシナリオを構築します。
「何故、そういう流れでシナリオが進むのか」をゲームマスターが理解/認識することが、この段階です。
僕のシナリオ記法では「エンディングランク」、「シナリオマップ」、「エイミングシート」、「イベントシート」、「トークンデータ」で記述されます。
3. シナリオを「再構築する」 (Rebuild image for session)
最後に参加者や PC、その他の環境などの条件から、セッションをイメージしてシナリオの再構築を行います。
このプロセスでは、イベントの序列やイベント内部の展開、難しいだけで意味の無い文脈、プレイヤーを退屈させないための仕掛けなどを、自分がマスタリングしやすいように並び替えます。
ここで「自分がどうマスタリングして、どうセッションを運営するか」のイメージを明確にします。
僕のシナリオ記法では、ここで全てのチャートが見直されます。
例・玄兎 GM のシナリオ準備
例ってほど細密じゃないですが。
僕がコンベンションやオフ会などで遊んでいた頃、シナリオを“ちゃんと”準備するときは、以下のプロセスで行っていました。(いや、今もキャンペーンの構築とか、重要なシナリオではやりますが。ここまでやらなくても出来る人は出来るし、どっちかというと持て余したモチベーションを消化するための作業っつー噂もあります(笑))
1. シナリオを読む/作る
このプロセスで「あらすじ」と、ものすごい簡素な「ステージマップ」を作ります。
必要そうなら「フローチャート」も。
これは後のプロセスと照合させるために必要な、最低限の土台になります。
あと、目安として「エンディングランク」の最悪と最良を設定しておきます。
2. シナリオを理解する
このプロセスでは「あらすじ」から想起されたイメージを書きなぐり、構築していきます。
具体的には、勢力の中核となるオピニオンリーダーの「トークンデータ」、各勢力の主目的のみの「エイミングマップ」、「あらすじ」を表現するのに最低限必要な「イベントシート」、最低限の「イベントシート」を配置した「シナリオマップ」の順に作ります。
- 「トークンデータ」 : 勢力の中核となるオピニオンリーダー
→ 「エイミングマップ」 : 各勢力の主目的 - 「イベントシート」 : 最低限必要なもの
→ 「シナリオマップ」 : 最小限のイベントを配置
で、そこから「イベントシート」に合わせて「トークンデータ」を作り、「イベントシート」と「トークンデータ」から「エイミングマップ」を充実させ、そこから派生する「イベントシート」を作り……ってな具合で、視点を変えながらシナリオを掘り進めていきます。
この段階では、既にあるシナリオなら「幹と枝葉」の分類や、「その要素が何に影響するのか」の理解をするために。また自分でシナリオを書いているのであれば、その辺りの分類を行いつつひたすら増築していきます。
3. シナリオを再構築する
最後に書き出された各チャートと、脳内に出来上がったシナリオイメージを使って、セッションをシミュレーションします。
このとき参加プレイヤー、使用 PC などを十分に考慮し、またプレイヤーの理解力や、自分(ゲームマスター)の表現力、プレイ時間もちゃんと考えて、必要か無駄か、可能か不可能か、などを検討していきます。
既成シナリオの場合、たまに「ステージマップ」が用意されてませんから、そういうときはここで用意します。
また、「エンディングランク」を明確にするのもこの段階です。
余談
……とまあ、大体こんな具合です。
前にビギナーさんに説明したときは「錬金術みたいだ」と言われましたが、たぶんそれは『鋼の錬金術師』の「理解/分解/再構築」のことなんでしょうな(笑)