[頑張考] 「頑張れ」という言葉

 あんまり「頑張れ」って言わないんですよ。
 挨拶代わりの感覚で、お互いに言い合うようなことはあっても、本来的な意味で「頑張れ」とは、言わないし言えない。


 
 僕が子供の頃、親が僕に「頑張れ」と言っていたかというと、全然言われてこなかった。やるもやらんも自己責任。宿題やらんで怒られるのも、自転車で遠出して帰れなくなるのも、徒競争でビリになって恥ずかしい思いすんのも、みんな自己責任。(自転車で遠乗りの件では、最終的にお巡りさんの御世話になりました)
 「宿題やんなさいよ」と言うのも一回だけ。朝寝坊しそうなときも、起こすのも一回だけ。生返事だろうが寝言だろうが、答えてしまえば自己責任。それで教師に怒られて、親に八つ当たりしようとしても、あっけらかんと「あんた『うン』って言ったでしょ」と言われる。責任転嫁なんか出来ない。
(別にそれで、親が手抜きをしていたわけではなくて、むしろアレは労力が必要だということを、自分が親になってみて骨身に染みました。学校から呼び出しがあって、担任教師に「ちゃんと宿題をやるように言ってください」と言われたときに「本人がやる気になったらやりますよ」と返す労力は、並大抵のものではないですよ)

 ……とまあそうした経緯から、僕の中で「頑張れ」っていうのは監督責任を果たすための儀礼的なものです。それ以上でもそれ以下でもない。
 言われて、答えたら、ちゃんとやんないといけないんです。
 なんか「任せたよ」と肩にポンと手を乗せられる感じ。
 そんなん言われない方が気が楽でしょう(笑)

 追い込まれないとできない人っていますけどね。
 やんなくたって良いじゃん、とか思っちゃう。
 敢えて追い込みのプロセスを踏みたがる人については、分かります。
 自分も〆切無いとダラダラ先延ばしにし続けるから(爆)
 仕事とかね、最初から契約があって、責任と報酬が発生するものであれば、発奮もさせるんだけど。そういうのもまあ基本的に相手もプロだろうから「よろしく」とか「いいもん頼むよ」とかで済むことで、わざわざ「頑張れ」とかは、言わない。
 プロなんだからさ、言われなくてもやるでしょ。

 あとアレだ。「頑張れ」ってのを技量不足の人間に言う。
 アレは違うでしょう。
 「頑張れ」っていうのはやる気の問題で、やる気は必ずしも技量不足を補うものではありません。根性論とか精神論とか唱える人には腹立たしい意見かもしれないけど、未熟者に出来ることは「丁寧にやること」だけであって「上手くやること」は絶対にできません。だって未熟なんだから。
 丁寧にやってなかったら「お前やる気あんのか」と言うけど、丁寧にやってるのに腕が足りない相手に必要なのは「頑張れ」なんて言葉じゃなくて、丁寧に指摘してあげたり、伸びる機会を作ってあげること。
 技術が必要なところに明らかに未熟なスタッフしかいなかったとしたら、それはスタッフ集めた人の責任であって、集められたスタッフが悪いわけではない。でも任された仕事を丁寧にやろうとしないスタッフは、責任追及もしない代わりに仕事もさせない。干す。
 ミスやトラブルに対するリカバーよりも、人手不足の慢性的な遅延の方がまだ計算が立つし、パワー不足を乗り切るための方法も、必要の中から生み出されて全体のスキルアップが計れる場合もある。……もちろん、潰れる場合もある。その前に別の人員手配するけど。(スケジュール延期は最終手段)

 ……アー、イカン。脱線した。
 「頑張れ」については前半に書いたことが全てかな。
 後半のはなんか職場での愚痴になってる(苦笑)