「どうしたら小説が書けますか?」

昨日の昼に来てたメールの中に、ちょっと詰まった質問が。

「どうしたら小説が書けますか?」

 ぶっちゃけ、ものすごい回答に困ります。
 普通に書けばいいんじゃあ……とか思っちゃう。
 作文なんて小学校でやったでしょう? と。
 ただまあそれでは回答にならないんで、もうちょっと掘り下げて。
 ……って、僕だってロクなモン書けないんだけど。

 


さて。
 えー、しかしまあ何だか漠然とした質問だなぁ。
 これじゃあ条件不足なので、質問者の心理を推測します。

「書いたことがない」
「書くきっかけが欲しい」
「上手く書けたことがない」
「上手く書きたい」
「途中でヤル気が萎えてしまう」

 だいたいこんなところじゃないかと仮定して、と。
 これならまあ、回答も決まってきます。


「書いたことがない」
 書いたことがないなら、まず書くこと。
 もっとも現実的な対策ではないかと。
 出来なんか気にしないで、書きたいように書けばいい。
 まずはそこから。

「書くきっかけが欲しい」
 作品世界の設定(人物、環境、社会など)の中から、一つ二つピックアップして、その対象について書いてみる。
 一度書き出してしまえば、書かなきゃならないことはいくらでも増えていくから、あとは普段通りに書けばいい。

「上手く書けたことがない」
 上手くいかない理由を考えてみよう。
 文章力? 構成力? 表現力? いろいろある。
 とにかく足りないものがあるなら、それがある作品を読み漁れ。
 その中から気に入った文章を適当に、自分の作品に組み入れてみる。
 その文章を組み入れるために、周りの文章もちゃんと変えること。
 文脈はもちろん、文頭、文末、約物、韻律……修正すべきは多い。
 それらは音読しながら直すこと。
 適時推敲しながら進めた方が、無駄がない。

「上手く書きたい」
 上手いと思う作品を、転写か音読してみるといい。
 次にその作品の文面を、自分流に少しずつ変えてみる。
 (作品の内容は変えない)
 しっくり来る方を採用しながら一作品模写してみると、色々足りなかったものが見えてくるはず。

「途中でヤル気が萎えてしまう」
 無理矢理でもいいから、一回終わらせること。
 隕石が降ってきて人類全滅でも、全能の機械神がいきなり出てきて力業で解決しちゃってもいい。
 何が何でも終わりまで書くくせをつける。
 繰り返していれば自信になる。
 自信が付けばちゃんと書けるようになる。


 まあ、だいたいこんなモンでしょうか。

 あと、これは別に聞かれたことじゃないんですが。
 よく「いい文章が書きたければ本をたくさん読め」とか言います。
 それはまあ間違ってはいないと思うんですが、ただダラダラと読むだけじゃなく、読むときは「同じものを自分で書く」つもりで読むことが大事なんじゃないかと。
 言葉選びや韻律(リズム)なんかは、人によって違います。
 たとえば読点をどこで打つか。
 たとえば文頭、文末をどうするか。
 たとえば「事/こと」を漢字で書くか、平仮名で書くか。
 たとえば約物(「」、。・!?…など)をどう使うか。
 一つ一つは小手先技ですが、まとまれば貴方なりの持ち味になります。
 また逆に、そうして比較することで自分に不足するものが分かったり、新しいものを吸収できたりもします。
 そうしたことを含めて「本をたくさん読め」と。

 どれもこれも初歩的な話ばっかりでナンなんですが、情報不足で言えるのはこれくらいということです。