[掌篇] 33 : 夜の女王

 都会の夜を、自在に歩く娘がいた。
 夜目には黒にしか見えない、深紫のショートヘア。
 母譲りのブルーの瞳で、夜を睨みつけていた。
 夜は女の時間だと、彼女はいつも鼻で笑った。
 この町から姿を消して、一年。
 帰って来た彼女は、力なく横たわる。
 薄っぺらな体は、もう抱いてやれない。

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 遅れて申し訳ない。
 あまりのことに気が動顛して、収まりがついたのがついさっきだった。
(履歴を見ると何度か電話をしたようだが、正直、覚えていない)
 今回の掌篇は、あまりに私小説すぎるかもしれない。
 一応、物語の中に組み込めるように考えはしたが、あまり自信は無い。
 それでも消したくはなかったので、番外編とはせずにおいた。