おとなチャレンジ

 昼。

 家で休んでいたら、玄関のチャイムが鳴る。
 とりあえず出ることにした。
 専属看護士は、ベッド脇で仮眠中だ。

 君が雑用をやってくれる約束で、僕は退院できたんじゃなかったのかい?
 髪をつまんで頬をくすぐると「うにゃあ」という。
 面白い。
 もうちょっと遊んでみたかったが、二度目のチャイムが鳴ったので諦める。
 用が済んだらアイスノン乗っけてやろう。

「ごめんください」

 悪くない声。
 標準より若干高めだが、それと気付かない程度の高さ。天然のメゾソプラノ。
 なかなか好みの声質である。
 一番好きなのはコントラルト(アルト)だけどね。

 まあいいや。
 そんなわけで、選択肢は……

  ○とりあえず出る
   覗き窓から確認する
   無視する

 玄関をあけると、ちょっと背の低めの、20~30代の可愛らしいオネーチャン。
 これはちょっと出来すぎだろう。
 もうちょっと外れてた方が、安心できたのになァ。
 ヤな予感がしつつも、可愛かったのでご挨拶。

 人間、正直に生きるのが一番だ。

「どうも。なにか?」
「この辺りを回らせてもらって、神のお言葉を」

×失敗!