[掌篇] 05 : 黒いラブラドール

 闇の中、汽車は巨獣に襲われていた。
 逃げなければ。
「待て!」
 車掌の制止を振り切って走った。
 その先に、細い光に照らされた一匹の黒犬。
 幼い頃、川に流された仔猫を助けた、愛犬が言う。
「帰ろう」
 暗転。
 嵐の晩、濁流から助かったのは一人。
 雲間に射す、絹糸の月明かりに照らされて。

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○今回の反省
 前々回あたりから、単なる続き物になっちゃいました(^^;
 通して書いちゃったのがマズかったのかもしれません。
 とにかく、掌篇としてコレではイカンだろうということで、考え中。
 一本道の掌篇連作にすると、連作の方に意識が向いて、単話完結の縛りが緩んでしまう様子。
 掌篇が大前提で、個々は緩やかに連結しているような形で考え直すべきかな。