第九回。予告通り、今回で紹介については終わりとなります。
もっと突っ込んだ解説……というより CC-BY に則った翻案かな? そういうものも考えてはいますが、タイトルとか変わると思いますんで。
記事紹介(5)
ヒロイン学講座
この何ともアグレッシブなタイトルの記事は、真中拓也氏による「ヒロインに焦点を絞ってシナリオ/セッションを考えた」話になります。元は大学サークルの冊子に掲載されたもので、
これを作成した当初は「GM のシナリオ作成の補助」という目的ではなく徒然と書いていたため、主にPL が自分のキャラを演じるときに参考になるような文章となっています。ご了承ください。(p.104)
とあるとおり、いわゆる「シナリオ作成術」のイメージからは外れていると感じました。が、そもそも「シナリオ=ゲームの準備」と考えると、これも立派なシナリオ作成術ということになるんじゃないかしらん? などと考えてみたり。
内容は「基礎基本編」「テクニック編」「課題演習編」「サンプルヒロイン編」とセクションが区切られていて、段階を追ってヒロインをどう表現するのか、どうプレイするのかについて掘り下げられています。真面目な話、自分はいわゆる「ヒロイン」ってのがよく分かってなかったりするので、これは勉強になりました。
シナリオフックとしては「サンプルヒロイン編」が良い感じじゃないかと。
ストーリーラインで作るシナリオ
翻って、一気にシナリオ作成術の王道のようなタイトルのこの記事は、神沼 三平太氏による「TRPGシナリオ論」といった趣の、ヘビーなテキストとなっています。扉ページにあるリンクを見ると、どうやら元はパブーで公開されているテキストのようです。
TRPGを遊ぶ上で、ほとんどの場合において必要とされるシナリオ。そのシナリオの中にあるストーリーという要素に焦点を当てて、その源とは? またストーリーラインとして6種類のパターンを展開し、それぞれどんな展開を扱っているのか? といったあたりから切り込んでいます。
内容は、古参の人には懐かしい異邦人(マレビト)タイプ。つまり第三者の立場から物語に関わっていくタイプのシナリオを想定されているようです。前回紹介した「ブレイドオブアルカナ シナリオ作成術」と、ほぼ正反対と言っていいのかな? だからといって当事者タイプのシナリオにも使えるモノだと思います。
最後に付録として「シナリオ作成サマリー」「当事者の目的表」「PCへの課題」があり、目的表と課題はそれぞれ100パターンずつというボリュームです。圧巻。
†愛天使ラブフェル†氏のシナリオフォーマット
最後は†愛天使ラブフェル†氏のシナリオフォーマットということで、氏が実際にシナリオを作った際の、びっしり書き込まれたシナリオシートが2枚、掲載されています。
扉も序文もなにも無しに、いきなり見開きですごい書き込みのシートが目に飛び込んでくるわけで、正直な話、最初パニクりました(笑)
p.140に『ソード・ワールド2.0』の、p.141が『トーキョーN◎VA』の、それぞれハンドアウト……だと思います。これ全部見せるのかな? その辺ちょっと分からんのですが、とにかく1枚のシートにびっしり情報が詰め込まれていて、何やら凄いことになってます。
というわけで……
一連の「『TRPGシナリオ作成大全 vol.1』を読んでみた」シリーズは、ひとまず終了となります。
正直こういった形のエントリってあまり書かないので、毎回ドキドキしながらの投稿だったわけですが。少しでも興味を持っていただけたなら幸いです。
*最後に告知ということで
本書はこちらの記事(氷川 TRPG 研究室 – labo 閲覧 : TRPG シナリオ作成大全 Volume I (2012))にもある通り、
-コミックマーケット83 (東京ビッグサイト) -2日目(2012/12/30) -東地区W15a「氷川TRPG研究室」
にて頒布予定となっております。
RT @otneg: [trpg] 『TRPGシナリオ作成大全 vol.1』を読んでみた : 9.紹介編(5): http://t.co/NXgB8y2I