どうやら『ブルーフォレスト物語がよくわかる本』は友人に貸しっぱなしだったようで、こないだリバイバルエディションが出た関連から話題に上げたら「あれ、それウチにあるんじゃない?」とか。
いや「ウチにあるんじゃない?」じゃなくて……(笑)
ということで、シャドウラン読みかけですがブルフォレへ。
(書くの久しぶりなんで、体裁忘れてるな。えーと……)
ページの内容
『ブルーフォレスト物語がよくわかる本』を読んでみた
例によって、目次から見ていきます。
……本書では小節単位まで書かれてますが、大雑把に章のみ書き出します。
- ブルーフォレストをぜんぜん知らない人へ
- プレイングガイド もうひとりの自分を
- ワールドガイド ようこそシュリーウェバへ
- キャンペーン リプレイ アバール国のじゃじゃ馬娘
- あとがき
これまでとは違って五章立て。
別にテンプレートがあるわけじゃあなさそうですね。
で、これをまた書式と内容で見てみると、
- ブルーフォレストをぜんぜん知らない人へ(Howto RPG)
- プレイングガイド もうひとりの自分を(システム解説)
- ワールドガイド ようこそシュリーウェバへ(ワールドガイド)
- キャンペーン リプレイ アバール国のじゃじゃ馬娘(リプレイ)
- あとがき
システム解説に大きくページが割かれていて、『ワースブレイドが~』より『D&Dが~』の方に近い体裁になっています。
ブルーフォレストをぜんぜん知らない人へ
「ブルーフォレスト物語って何ぞや?」を簡単に説明してから、「TRPGとは」が書かれています。
いわゆる「はじめに」ってやつです。
本書では TRPG は特に「物語を創る遊び」として紹介されていて、「わしゃわしゃと物語を創る」とか「物語の創られ方」といった小節で軽く紹介されてました。
ちょっと興味深いなと思ったのは「経過が楽しい」という話。
引用してみます。
そんな一過性の物語が楽しいのだろうか。
答え――楽しい。
ほかの多くの遊びと同じように、その経過がこのうえなく楽しいのである。
RPGはそういった遊びの一つであり、素晴らしい時間を提供してくれる。『ブルーフォレスト物語がよくわかる本』 (p.18-19)
よくよく考えてみると、TRPG の説明としてこの「経過が楽しい」ってコトを明示してるテクストってあんまり見ないような気がするんですね。意味合いとしては同じ「やりとりが楽しい」ってのはあるんだけど、なんというか、「経過が楽しい」っていうのは「やりとりが楽しい」より、程よいスケールなんじゃないかとか。
どうだろ?
プレイングガイド もうひとりの自分を
- ある、女戦士の物語“チニタ姫の伝説”
- 基本的なルールと、使い方
- キャラクター・メイキングの手引き
- ロールと成長
- 戦闘
- 実践 キャラクター・メイキング
- ブルーフォレストの遊び方
- 職業をロールプレイする
この章ではシステム解説がされています。
これまで紹介した二冊の「わかる本」との違いは、「キャラクターの作り方」より先に基本ルール、特に「基本的な判定方法」について書かれている点でしょうか。
それ以外の点については、それほど特徴的なところは無いかな?
ああ、節「職業をロールプレイする」は面白いです。
これは『ブルーフォレスト物語』独特(?)のアプローチ。このシステムの「職業」ってのは「他人から何をやってる人間に見えるか」であり、レベルはその説得力の強弱を表しています。ですからプレイヤーには、キャラクターが「その職業の人間である」と感じさせるようなロールプレイが求められます。
注意すべき点は、この節の冒頭文、
ロールプレイとは、役割を演技することだ。
演技といっても、演劇のようにセリフを語ったり演じたりすることだけではない。自分の心の中にあるキャラクターを、他の仲間に伝えることが出来さえすれば、どんな方法をとってもいいのだ。『ブルーフォレスト物語がよくわかる本』 (p.121)
で、職業ごとに「それらしく見せるロールプレイの指針」が簡単に説明されています。この辺は『D&Dが~』と同じかな。
まずチニタ姫の一人称によるさまざまな冒険についての一人語りがあって、それから小節「リプレイ チニタの戦い」で簡単に戦闘シーンのリプレイが描かれている。
「物語を創る遊び」という立脚点に相応しい見せ方。
ワールドガイド ようこそシュリーウェバへ
- 歪んでしまったパラダイス
- ナウマニカのシュリーウェバ
- シュリーウェバに暮らすものたち
ここではゲームの舞台となるシュリーウェバ地方についての説明がされています。
さほど目新しいものがあるわけでもないが、種族間の関係や「シュリーウェバ人の常識」について、ゲームに使いそうなことが端的に書かれているので、行動原理に悩んだ時には役に立つか。
キャンペーン リプレイ アバール国のじゃじゃ馬娘
- アバール国物語
- リョンカ国物語
- 再びアバール国へ
- ビバッ! ラクトカンシャ女王物語
全4話のリプレイです。
これまた以前に紹介した二冊に比べて、文中の解説は少なくなってます。冗長になりがちなシーンはダイジェスト+解説でまとめて、全体的にスッキリした形になっているのは、ページ数の都合なんでしょうか(笑)
ユニークなのは、「ゲームマスター」という言葉を使わず、全編通して「ひとみさん」――本書の著者である細江ひろみ女史のこと?――になっていることでしょうか。
他の章については分かりませんが、この章はどうやら監修の伏見健二氏の視点から書かれているようで、シナリオも伏見氏が作っているようです。細江女史がそれを使ってマスタリングする光景を俯瞰的に見て、要所にちょっとした解説を添える、という体裁をとっています。
ゲームマスターの他に、アドバイザーとして伏見氏がついているのは、『バトルテック』リプレイや『新ソード・ワールドRPGリプレイ』シリーズを彷彿とさせる形。
あとがき
あとがきです。
普通の単なるあとがきです(笑)
まとめ
徹底して『ブルーフォレスト物語』の紹介なわけですが、面白いのは前に紹介した二冊と比べて「マスタリング・ガイド」が極端に少ないということ。マスタリングに関する話が、たった三ページ半しかないのには驚きました。
技術体系を持っていないワケではないんでしょうが、「これで遊べるのか?」という不安はあります。
ただ、これが書かれた時点で既に『ブルーフォレスト物語』は、コンシューマ・ゲーム機のソフト*1[コンシューマ・ゲーム機のソフト] = この段階では PC-Engine CD-ROM2 ベースで製作中だった。この後、プラットフォームを 3DO に移行することになる。 として製作中だったり、また伏見健二氏の手によって小説化*2[小説化] = この時点では「南北朝争乱編」の3冊のみ。 されたりと、ブルフォレ世界は TRPG だけに留まらない状況だったこともあるので、TRPG の解説書というより「ブルーフォレスト物語の世界の解説書」と考えた方がいいのかもしれません。
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