[Manual] ダンジョンから出よう(4)

 さて、今回は起承転結の「転」です。
 物語としてのゲームが最も盛り上がるイベント群になります。

「転」のイベント

 起承転結の転、つまりシナリオの山場には何が起こるのか。
 (1)でも書いたとおり、ここには≪真相≫≪選択≫≪敵≫が有ります。

 「転」のイベントは連鎖的に発生させて、シナリオのテンションを一気に盛り上げることが肝要になります。
 たとえば、明かされた≪真相≫によって≪選択≫を迫り、最後に≪敵≫と戦う、といった具合です。

おさらい

 前回までの話の中で、特に「転」に関する部分だけ抽出しておきます。

【起承転結における「転」】

  • : 物語のヤマ。真実の暴露や黒幕との対決など。

【ダンジョンにおける「転」】

  • : 最後の難関。ダンジョンの主と戦ったり、謎を解いたりする。

【「転」のイベント傾向】

  • : ≪真相≫≪選択≫≪敵≫

イベント : ≪真相≫

 ≪真相≫とはシナリオの原因や秘められた真実が明かされるイベントのことです。
 このイベントでは「シナリオの真相に関する情報」を解説します。

≪真相≫に含まれる情報
  • 概要 : 事件の概要。伏せられていた情報。
  • 黒幕 : 事件の黒幕、その正体。
  • 意図 : 黒幕の意図していたこと。目的。問題意識。
  • 阻止できる未来 : 何らかの手段で阻止できる最悪の未来図。
≪真相≫の例
  • 黒幕が判明 : 事件を拡大した黒幕の正体が分かる。
  • 真の目的の開示 : PC が本当に為すべきことに気付かされる。
  • どんでん返し : これまで信じてきた間違いに気付かされる。
  • 謎の解明 : 個々の事象のつながりが判明し、謎が解ける。

イベント : ≪選択≫

 ≪選択≫とはシナリオの結末を決定する重要な選択を迫るイベントのことです。
 このイベントでは「シナリオのテーマに関する意思決定」を促します。

≪選択≫に含まれる情報
  • 選択肢 : PC が選ぶことができる選択肢。
  • 選択の結果 : 各選択肢を選ぶことで生じる結果。
  • 関係者 : 各選択肢に関わる人物や事象。
≪選択≫の例
  • 利己と利他 : 自分第一か、社会第一か。
  • 建前と本音 : 選ぶべき選択肢と、選びたい選択肢。
  • 異なる等価 : どれもが利益と損害を併せ持っている選択。

イベント : ≪敵≫

 ≪敵≫とはシナリオの目的達成の障害と対峙するイベントのことです。
 このイベントでは「障害となる何者かを無力化すること」に挑戦します。

≪敵≫に含まれる情報
  • エネミーデータ : ≪敵≫がどんな存在であるか。
  • 無力化する手段 : どのように無力化すればいいのか。
  • 無力化した結果 : 無力化することによって生じる結果。
  • 無力化のリスク : 無力化することのリスク。また無力化に失敗したときのリスク。
≪敵≫の例
  • 殺害 : 殺さなければ無力化できない。
  • 説得 : 説得することで無力化する。
  • 戦闘 : 戦闘によって物理的に無力化する。
  • 逮捕 : 捕まえるだけで無力化できる。
  • 妥協 : ≪敵≫を理解し、互いに歩み寄ることで無力化する。