「わかる本」がどんなモンだったのかを、読み返してみようシリーズ。
……いや、シリーズ化できるほど「わかる本」持ってないんですけどね(笑)
えーと、手元にあるのは『D&D~』、『T&T~』、『ワースブレイド~』、かな?
あと『ブルーフォレスト物語~』も有るはずなんだけど、どこいったか。
個人的には『T&T がよくわかる本』が一番タメになると思います。これだけ富士見ドラゴンブックではなく、社会思想社-教養文庫なんで、意外と知らない人も多いかも? でも、こういう「わかる本」は、たぶん今でも欲しいんじゃないか……って脱線してますね。スミマセン。
とりあえず今回は『D&Dがよくわかる本』に的を絞ります。
ページの内容
いまさら『D&Dがよくわかる本』を読んでみた
まずは『D&Dがよくわかる本』の目次から。
まずは目次
- 第一章:ロールプレイングゲームの世界
- 第二章:最初の冒険
- 第三章:キャラクターを作ろう
- 第四章:これで準備はOKだ
- 第五章:いったいどうなる大冒険
- 第六章:キミもダンジョンマスターになれる!
これらに大雑把な内容解説を付けると、
- 第一章:ロールプレイングゲームの世界 (HowTo RPG)
- 第二章:最初の冒険 (リプレイ/失敗例)
- 第三章:キャラクターを作ろう (PC作成・運用ガイド)
- 第四章:これで準備はOKだ (装備品ガイド)
- 第五章:いったいどうなる大冒険 (リプレイ/実例 2話分)
- 第六章:キミもダンジョンマスターになれる! (GM心得)
「リプレイ」が二つも入ってます。
それから「キャラクター作成」についての解説に二章、1/3 を割いている。
残りは「RPG について」と「GM の段階的な成長」ですね。
んでは、各章をレビューっぽく追ってみます。
第一章:ロールプレイングゲームの世界
最初に「怪獣ごっこからロールプレイングゲームへ」で始まるとおり、本当にもう最初の最初っから説明しています。ここで「RPG はみんながヒーローになるゲーム」であることや「勝ち負けが無いこと」、それから「ダンジョンマスター(DM)の役割」、「ゲームの進め方」まで駆け足で書かれています。
第二章:最初の冒険
一部で伝説的な「四回死んでおつりが来る」リプレイです(笑)
魔法使いを後列に置いておいたら背後から襲われてあえなく死亡とか、欲をかいた 1レベル冒険者たちがレッドドラゴンに出くわしてブレスで丸焦げにされるとか。
ここで面白いのは、あっけなくゲームオーバーになった後の感想戦まで掲載されていること。
魔法使いが後列にいたのは「その方が安全だ」と思ったからだけど、実際は列の真ん中にいて前後どっちからも守ってもらうのがいいとか、ドラゴンと交渉するために必要だったドラゴン語を覚えてるのは魔法使いだけだったとか、欲に駆られてパーティを地獄に導いた盗賊が実は [賢明度 3] というステータスを演じていただけだったとか(笑)
DM もレッドドラゴンとか 1レベルの冒険者相手に大人気ないモンスターを出したり、色々と問題だらけのセッションです。
それ故に「予備知識が必要だよ」と警告して、その先に控えるコンテンツの重要性を示唆してる……ってことでしょうか。
ルールブックでもリプレイでも、それぞれの冒険における常識的な行動(パターン)ってのは、あんまり無いんじゃないかな?
ただ、この点については、この時代の「典型的な冒険」が、現在では遊ばれなくなったってコトなのかもしれないので、一概に「足りない」とは言えないところ。うーん。
第三章:キャラクターを作ろう
ここでキャラクターの効率的な作り方、避けた方がいい作り方について説明されています。
本書のように、初心者向けのガイドとしてキャラクター作成を、特にデータ的に作り上げるガイドは必要ないとも考えられます。
第四章:これで準備はOKだ
武器・防具から一般装備までの解説。
ここの解説はとても有用で、武器一つとっても「斧は扉を壊すのにも剣より重宝」とか、「矢は戦いが終わったら拾えばいいなんてのは甘い」とか、「クロスボウがロングボウより弱くみなされる理由」とか、「迷宮の中では弓矢で長距離のうちに敵を殲滅するのは難しい」とか。
一般装備も「油は撒いて火をつければ敵をさえぎる壁になる」とか「たいまつは明かりの大きさが調節できない」とか、「鏡はダンジョンの曲がり角でその先を見るのに使える」とか……こうした予備知識がまったく無い初心者にとっては、これは本当にありがたい。
第五章:いったいどうなる大冒険
連続シナリオ(二話)のリプレイで、キャラクター作成からやってます。で、またそのキャラ作成の光景がけっこうヒドくて、仲が良いのは分かるんだけど、なんつーか……笑えます(笑)
シナリオの方は、オーソドックスな「ダンジョンハック」と、それから王道である「姫君を魔女から救出」というもの。前者から後者へのブリッヂがまた面白い「押し」型の導入で、未熟な GM だった頃はよくこのパターンで PC たちを追い立てたもんです。わはは。
この直線上に『ソード・ワールドRPG』のリプレイ第一シリーズ(スチャラカ冒険隊)があると考えると、納得できる感じ。
読み物としての娯楽性は若干劣るんで、現代向けではない、かも。
第六章:キミもダンジョンマスターになれる
ダンジョンマスターをやるための心得集。
- レベル 1:モジュールユーザー(市販のシナリオを使う)
- レベル 2:ダンジョンメーカー(ダンジョンを作る)
- レベル 3:シナリオメーカー(シナリオを作る)
- レベル 4:NPC マスター(NPC を使ってドラマを演出する)
- レベル 5:ワールドビルダー(キャンペーン用の世界を作る)
の五つの段階について解説されています。(もっとも最後の「ワールドビルダー」については、決めるべき十の要点を列挙するに留めていますが)
それから最後に「DMべからず集」として、六つの要点を挙げています。
あと、今気付いたんだけど「ダンジョンメーカー」で説明されているダンジョンの作り方が、『ソード・ワールド2.0 シナリオ集 魔剣が呼ぶ迷宮』と大体同じような……き、気のせいだよな(笑)
まとめ
さすが TRPG の元祖たる D&D の「わかる本」だけあって、入門者向けのガイダンスに徹底している印象があります。
この世代で遊んできたユーザとしては、ものすごい有用に見えるんですが、新しいユーザにこれを読んでもらうのは難しそうな気がするなァ。なんでだろう(^^;
ちゃんと何がどこに配分されているかを検討してみると、「わかる本」が姿を消して、リプレイ本にだいたいの役割が移行したのもハッキリしそうですね。