(T)RPG をデザインする上で、ルールシステムと遊びの組み立て、というのはどう考えられているのか。
ここで言う「遊び」は、よく車の運転なんかで使われる「ハンドルのアソビ」に近いものですね。スキマ。余白。そういったものです。
(T)RPG のルールを組むとき、またシナリオを作るとき、そしてセッションを運営するとき、まず最初に考えるのが「使用するルールシステムは余白がどこに有るのか」ということです。それがそのルールシステムのセキュリティホールであり、またゲームに自由な創造を許すスペース=アソビになります。
近年よく使われるようになったゲームセッションの手順化は、こうしたアソビ、セキュリティホールを潰すことで、ゲームプレイを想定内に収斂しようというデザインの潮流です。特にナラティブゲームと称する一派は、こうした設計思想によって、ゲームとして認められるようになりました。
本エントリでは、従来のルールシステムの中にどんなアソビが見られるのか。それを読み取り、活用するのか。そのあたりについて考えてみたいと思います。
セッションのアソビ
まず最初に、(T)RPGのセッションにおけるアソビについて、簡単に見ておきたいと思います。
これはルールシステムとゲームシナリオとの組み合わせで決まるものですが、要点はひとつ、終了条件の扱いです。
セッションにおける終了条件の扱いは、大きく分けて以下の3パターンに分類できます。
- 終了条件を定義していない
- 終了条件を定義しているが結末は確定していない
- 終了条件を定義していて結末まで確定している
終了条件の定義はルールシステムで行っているものと、ゲームシナリオごとに行うものとがありますが、セッションでは同じことです。
「終了条件を定義していないセッション」では、アソビはセッション全般にあります。最終的にどうなるか、どこに行くべきかも決まっていない、気ままな旅路というわけです。
「終了条件を定義しているが結末は確定していないセッション」では、終了条件を満たすまで、また終了条件を満たした後に、アソビがあります。どのように目的地に至るか、またその結果どうなるかは任せるけど、とにかく目的地には着かなければならないため、過程のアソビは終了条件を定義していないセッションに比べて小さなものになります。
「終了条件を定義していて結末まで確定しているセッション」では、終了条件を満たすまでの間にアソビがあります。しかし決められた結末に至らなければならないため、その過程のアソビも「終了条件を定義しているが結末は確定していないセッション」より更に小さなものになります。(これは矛盾を少しでも無くさなければならないからです)