先日Twitterで頂いたお題、ゲームセッションの構築について、どれくらいのことを考え、またバリエーションを付けられるのか? というお話。こいつを懐かしの BBS セッションを例に書いてみようかという試みであります。
……で、なんとなく書いてたんだけど疲れたんでアップ。
BBS セッションのモデルは、キャンペーンやる際の「導入」パートやら幕間(セッション外)の遊びなんかで使ってるんだけど、手癖でやってる部分もあってちゃんとバトントス出来てないんで、ちょっと整理しときたいなーと思ったんだけども。
いざ書き始めてみたらゴールまでのプロセスが長い長い(汗)
ということで続きは気が向いたら書きます。
ページの内容
ゲームセッションを構築する
ゲームセッションとは何か……という話はまあ、ウチを読みに来られてる方なら大体ご存知と思いますので省略。ここでは (T)RPG のセッションにフォーカスしていますが、まあマルチゲームならデジタルアナログ問わず基本的にここから出発するよねって話になるかと思います。
ゲームセッションを構築するってどういうこと?
基本的には参加ガイドラインの作成とプレイの手順化で、それによってどのような体験を作り出すかが焦点となります。今回はゲームの駆け引き、主に数理的な面白さについては扱いませんが、ゲームシステムの選択時にその辺を含める場合もあります。
それをどのように構築するのか。今回は過去にネット上の BBS(電子掲示板)で行ったゲームセッションを例に、何を考え、実際にどのような反応があったのか、等についてまとめておきます。まあ古い話ですし今さら感も強いでしょうけど、一人でも知りたいって人がいたんだから良いんだよ!(笑)
■ BBS セッションの基本的な整理
そもそも BBS セッションって何さ? ってところから始めにゃならんかもしれませんが。これは上記の通り、ネット上の BBS で (T)RPG のゲームセッションを行うこと、または当該セッションそのもののことです。 BBS って何? まで言っちゃうと流石にアレなので、どうぞ Wikipedia の記事でも御覧ください。まあ長文が打てる Twitter みたいなもの*1若い子に「2ちゃんねる」とか「匿名巨大掲示板」とか通じなかったので。、程度の認識でも大丈夫そうですが。
系譜としては、現在も行われているオンラインセッションの、特にテキストチャット・セッションの祖ということになるでしょうか。古くはパソコン通信時代に遊んでいた猛者がいたり、まあ歴史だけはあります*2通信ゲームとして遡れば郵便を介した囲碁将棋やチェスなどのボードゲームが源流。。技術的にも枯れきってるので水平思考もそれほど難しくないんじゃないかと。
で、これを実際にやろうとするとき、アレコレきちんと整理しとくとトラブルシューティングが楽になったり、逆に未整理のままだといざって時にグダグダになったり、なんてことがありまして。
□ 整理(1) : 小工程(ゲームプレイ)
工程面での整理ってのは、要するに BBS セッションってのがどんな工程で行われるか、その工程の手順を理解しておくってことです。この際、参加者に要求される技能についても整理しておきます。
まずは最小単位の工程だけを整理してみましょう。ひとまず参加者がゲームプレイする際の行動は、概ね以下のようになります。
- 参加者(GM含む)が投稿した[ゲームの状況]を閲覧する
- 自分の管理する[PCの目的]を確認する
- (2) を達成するために必要な行動を決定する
- (3) を[ゲームの状況]にすり合わせる
- (4) に沿った内容を[要求される書式]に編集する
- (5) を BBS に投稿する
次に、それぞれの工程で参加者に要求される技能について整理しておきます。
- (読解)投稿された[ゲームの状況]を理解する
- (特になし)
- (起案)目的達成の手段を起案する
- (編集)具体的な行動に編集する
- (文章作成)他者に伝わる文章を作成する
- (端末操作)作成した文章を投稿する
(1)~(4) までは基本的にはその他の形式のセッションと変わりませんが、 (1) については注意が必要です。 BBS セッションは、その性質上リアルタイム性に劣るので、疑問に思ったことをすぐに質問できるとは限らず、またその返答を得るにも時間がかかります。その手間によってセッションのテンポが左右されることにもなります。記述された内容から[ゲームの状況]を理解する能力が有るに越したことはありません。
(5) の文章作成能力というのは結構な技能です。 (T)RPG やってる人の中には創作界隈の人間もそれなりの数いるので、自分基準で考えてこの問題を見落とされることもあるんですが……普段、文章を書き慣れていない人間にとって「読み物を書け」というのは結構なストレスだったりもします。書式が決まっていなかったり、フリーハンド過ぎたりすると尚更です。また情感たっぷりに描写する上手い参加者がいたりすると、そのハードルはぐんぐん上がっていき、ストレスもそれだけ増大します。
(6) とかいまさら言うまでもないことじゃん、と思うかもしれませんが、技能なんですコレ。あるいは環境かな? 同じ BBS にアクセスできるからといって、使ってる端末が PC なのかスマホなのかフューチャーフォンなのか、みたいなところでも変わってきます。 PC やスマホを入力端末とする場合は個々人の慣れ次第でわりと大きなストレスにはなりませんが、フューチャーフォンの場合は文字入力の手間が他の端末の数倍になりますので注意が必要です。
……なんて具合に考えていきます。
□ 整理(2) : 大工程(プレイサイクル)
次。より大きなスケールでの工程、セッションに参加する際の行動を整理します。
といってもこちらは大した数はありません。基本的には (T)RPG はシンプルなキャッチボールで成立する遊びですから
- 投稿された記事を読む
- 必要に応じて記事を作成する
- 作成した記事を投稿する
というだけです。
ただしもうちょっと引いて見ると、
- 他者が記事を投稿するのを待つ
- 情報端末を起動→ネットワークに接続→ブラウザを立ち上げる
- BBS に接続して投稿された記事を読む
- 必要に応じて記事を作成する(小工程)
- 作成した記事を投稿する
となります。
ここで考える必要が出てくるのは、特に (3)~(4) にかかる時間です。一度に投稿される内容の量によって、参加者がその内容を理解するまでにかかる時間、またそれに応じて次の投稿(プレイ)を作成する時間が変化します。大抵の場合は文章量と必要な時間が比例することになるでしょう。その結果として (1) の肥大化が発生することもあります。
また参加者の生活環境によって (2) の頻度やタイミングが変化することも忘れる訳にはいきません。スマホやタブレットなど手軽なモバイル端末なら手早く行える工程ですが、デスクトップ PC などは起動にかかる時間もそれなりですし、その分の時間、その場から移動できなくなるため、多少のまとまった時間が必要となります。こうした環境に違いは参加者毎の差異として、時にストレスの元となることがあります。
これらを勘案することは、総合的に大工程 1 サイクルをどの程度の期間で行うのか? という運営上の設計に関係するわけです。
□ 整理(3) : 特性
BBS セッションの特性ですね。他のスタイルのセッションと比べて、どのような長所と短所が有るのか。
これは大きく分けて以下の二点に集約されます。
- 一度に長文を投稿(プレイ)できる
- 文字を介する
(1) については口頭での発話によるセッション、またリアルタイム性の高いテキストチャットのセッションとの比較です。 BBS セッションでは一度に多くの文章量が多いため、より詳細な(手の込んだ)描写が可能となります。
(2) については、モニタ上に文字を表示する、という形を取るため口頭での発話に比べて客観性を維持しやすく、またロールプレイについても性別や声質、羞恥心などによる制約を最小限まで軽減することができます。
これら (1)~(2) の要素を合わせることで、その他のスタイルと比べて「地の文」による描写に強い。というのが BBS セッションの特性です。
では短所はというと、いくつかについては既に触れていますが、大まかに二つの要素に分けることができます。
- 文章作成能力への依存度が高い
- やりとりにかかる時間が長い(テンポが悪い)
(1) については小工程の整理で触れたとおりです。要求される技能がわりと特殊なんで、普段から鍛えてない人にとってはストレスになる場合も在るよ、という。
(2) についても大工程の整理で触れていますが、こちらもうちょい補足が必要なので。やりとりにかかる時間が長いということは、時間を短くしよう、あまり長期化させずに遊びきろうとするなら、なるべくやりとりの回数を減らす方向で考える必要があります。
(T)RPG のゲームセッションのうち、特にやりとりを必須とする工程と言えば「行為判定」が挙げられます。一度の行動で行為判定のために何度もやりとりを往還する必要のあるルールシステムは、そのまま愚直に BBS セッションに適用すると、手間の割に充実感の薄いゲームになりかねません。これは細かな行動にも判定を要するルールでも同様です。(もちろん一度に複数の判定をまとめて処理するなどの解決方法もあります)
もっとも (2) については、一度に投稿する文章量を少なく制限し、テキストチャットと同じようにリアルタイムでやりとりするのであれば、短所というほどではなくなります。まあ BBS でテキストチャット・セッションをやってるだけ、ということになりますが。
□ その他
その他、 BBS の機能によって変化する部分(主にダイスロールの扱い)もありますが、ここでは割愛します。
■ ガイドラインをデザインする
これらの整理を踏まえ、セッション参加のガイドラインを整備していきます。(中断)
[memo] 遊び方の構築について~BBSセッションを例に(1) https://t.co/TtYpmuZXAf