[memo] 『Minecraft』(Vita版)をやってみた

同僚に唆されて、つい買ってしまった PS Vita 版の『Minecraft』

確実に時間泥棒だよなーと思いながら、恐る恐る半日突っ込んでプレイしてみたわけですが。

綺麗なデザインに「こりゃヒットするわ」と納得したのでした(笑)

重ね合わせの[ゲーム]として

基本的にこれ、小さい[ゲーム](ここでは「目的のある資源管理に基づく意思決定」くらいの意味)の集合なんですね。

[ゲーム]のルールが複数あって、それらの重ね合わせによって成立してる世界です。

コアにあるのは “Minecraft” の名にある通り、【採掘(Mine)】【工作(Craft)】のルール。

そこに大きなルールとして【時間】【照明】【資源管理(HPと満腹度)】【マップ】などの基本ルール群が重ね合わさって存在しています。(昔懐かしい T2 型の (T)RPG に見られたルール群ですね)

これらのルールがそれぞれ別の小さな[ゲーム]を生み出し、それぞれが相互に関係してシナジー効果を起こし、ごく単純な(コアルールに則った)プレイによって、シームレスに複数の[ゲーム]を渡り歩きながら攻略する。それが『Minecraft』のデザインの核なんじゃないかなー? と。

以降は基本的にどーでもいい与太なので、時間と興味のある酔狂な人以外にはオススメしません(笑)

【採掘】と【工作】~基本の基本

ゲームを開始したら、最初は木を切って木材を集めます。便宜上「切る」と言ってますが、そんな洗練された行動には見えません。Rボタンを押しっぱなしにして木の幹(ブロック)にじわじわヒビを入れ、粉砕するのです。

粉砕すると木材アイテムがドロップします。これを拾えば木材ゲットです。(原則、アイテムは1マス分程度の範囲まで近寄ると勝手に回収されます。隣接マスからアプローチすれば、ドロップした瞬間に回収していたりします)

そしたら□ボタンを押して工作画面へ。木材を板に、板を工作台に変えます。工作台をマップ内に配置してからLボタンでアクションかけると、□ボタンよりも豊富なアイテム工作ができます。

と、ここまでは最低限の基本。

ここで木のツルハシを作りましょう。木材を変換した木の板が3枚、さらに木の板を変換した棒2本とを組み合わせることで作れます。木のツルハシ、なんと石ブロックを掘ることが出来ます。使ってる木材はそんな特別な代物ではありませんが、出来るのだから仕方がない。

この木のツルハシで石ブロックを掘って石材(丸石)へと変換すれば、丸石3個と棒2本で、石のツルハシを作ることができます。石のツルハシは、木のツルハシより素早く掘ることが出来ます。

……とまあ、万事そんな具合で工具を作りながら活動範囲を広げていきます。

【採掘】と【工作】のルール

便宜的に定義文でルールを記述すると、以下のようになります。

  • d: 【採掘】とはマップ内のブロックを壊して素材アイテムに変換することである
    • d: Rボタンでブロックにプレイすることで【採掘】できる
    • d: ブロックの種類によっては【採掘】に特定のアイテムが必要となる
  • d: 【工作】とは一定の素材アイテムを消費して別のアイテムを生成することである
    • d: □ボタン、または各種作業台ブロックにLボタンでプレイして【工作】できる
    • d: 【工作】には素材アイテムが必要となる

これは「必要な物を調達する」スキルと言えます。

各種基本ルール(抜粋)

同じように、基本ルールのいくつかを抜粋してみることにします。

実際には、ここに記述したものより多くの細かなルールがあります。

また、数値については Minecraft wiki に掲載された PC 版の資料を参照しましたので、もしかすると違っているかもしれません。

【時間】のルール

【時間】のルールは、ごく単純です。

  • d: ゲーム内の「1日間」は、実時間の「20分間」に相当する
  • d: 【時間】は「昼 → 日の入 → 夜 → 日の出」と変化し、再び「昼」に戻る
    • d: 昼 10[min.]
    • d: 日の入 1.5[min.]
    • d: 夜 7[min.]
    • d: 日の出 1.5[min.]
  • d: 【時間】によって明るさは変化する
    • d: 昼は強い光源である「太陽」が上空にある
    • d: 日の入は「太陽」が水平線に沈んでいく。徐々に暗くなる
    • d: 夜は暗い
    • d: 日の出は「太陽」が水平線から昇ってくる。徐々に明るくなる
  • d: 夜はベッドで眠ることによって次の昼までジャンプできる

【照明】のルール

【照明】のルールは、重要な複数の要素に関係しています。

  • d: その場の照明の有無や強弱は視界(画面の明るさ)に大きく影響する
    • d: 光源から離れる毎に照明は弱くなる
    • d: 光源を遮る物体が有れば照明は大きく減衰する(他の光源や間接光がなければ真っ暗になる)
  • d: 【工作】で作れるアイテムには光源となるものが複数ある
    • d: 光源となるアイテムはマップに設置できる
  • d: エネミーはマスごとの照明度によって「発生」「敵対」「中立」など処理パターンが変化する
    • d: エネミーは一定値より暗い場所でなければ「発生」しない
  • d: 植物はマスごとのの照明度によって「不着」「維持」「成長」など処理パターンが変化する

【資源管理(HPと満腹度)】のルール

【資源管理】のルールは、PC の持つ【HP】と【満腹度】という二つの資源に関するルールです。

  • d: 【HP】のゲージはダメージを受けることで減少する
    • d: 4ブロック分以上の高所から落下するとダメージを受ける
    • d: エネミーの攻撃によってダメージを受ける
    • d: 水中で酸素ゲージが0になると一定時間ごとに【HP】にダメージを受ける
  • d: 【HP】が0になると死亡する
    • d: プレイヤーは死亡するとリスポーン地点に復活(リスポーン)する
    • d: 死亡した際に所持していたアイテムは死亡地点の周辺にばら撒かれる
  • d: 【満腹度】のゲージは時間経過によって減少する
    • d: 【満腹度】のゲージが3以下になるとダッシュできなくなる
    • d: 【満腹度】のゲージが0になると一定時間ごとに【HP】にダメージを受ける(スリップダメージ)
  • d: 食料アイテムを食べることで【満腹度】のゲージは回復する
    • d: 【満腹度】のゲージが8以上であれば一定時間ごとに【HP】が回復する

【マップ】のルール

【マップ】のルールは、コアルールと対になるルールです。

  • d: 新規ゲーム開始時、マップは生成されるシード値により作られる
  • d: 新規ゲーム開始時、プレイヤーはマップ内に最初のリスポーン地点を自動設定される
    • d: ベッドで眠るとリスポーン地点はベッドの隣接マスに設定される
  • d: マップは地形に合わせて土、石、木、砂、水などのブロックによって構成される
    • d: 水を除くブロックは通り抜けできない
  • d: 素材アイテムによってはLボタンでプレイしてマップ内に設置できる

“必要”の[ゲームデザイン]

これらの基本ルールを基礎とした細かなルール群によって、ゲームプレイにはたくさんの小さな“必要”が埋め込まれることとなります。

たとえば前述の石ブロックへのアプローチにしても、石ブロックを【採掘】するために木のツルハシを【工作】する必要があり、木のツルハシの【工作】のために木材ブロックの【採掘】が必要となる……と言った具合に。

例題:夜を無事に越える

新規ゲームを開始して、最初の[ゲーム]は「夜を無事に超える」ということです。

暗くなる夜には、どこからエネミーが現れるとも限りません。これを避けて無事に次の昼を迎えられなければ、ゲームを続けることは出来ません。

この最適解は「ベッドで眠る」です。一瞬で昼までジャンプできます。

では「ベッド」で眠るためにはどうしたら良いか?

「ベッド」についてのルールは以下のとおりです。

「ベッド」について

  • d: 「ベッド」は「樫の木」3個と「羊毛」3個を【工作】して作る
  • d: 「ベッド」はマップに配置することで眠れるようになる(Lボタンでプレイする)
  • d: 「ベッド」の周囲(半径8マス)以内にエネミーがいるとベッドで眠ることはできない

以上より、最適解「ベッドで眠る」を達成するためには、「ベッドを作る」「ベッドを配置する」「配置したベッドの周囲にエネミーを近づけない」という〈ゲーム〉が発生します。

このうち「ベッドを作る」は【採掘】と【工作】のルールで、「ベッドを配置する」は【マップ】のルールだけでクリアできます。

しかし「配置したベッドの周囲にエネミーを近づけない」が難しい。このためにはまずベッドの近くにエネミーが発生しないようにする必要があり、そのためにまず光源となるアイテムを作らなければなりません。

光源になるアイテムで、最も簡単に手に入るものは「たいまつ」です。

「たいまつ」について

  • d: 「たいまつ」4個は「工作台」で「棒」1個と「石炭」1個を【工作】して作る
  • d: 「たいまつ」は光源としてマップに設置できる

夜を安全に越えるために有用な(または必要な)アイテムについてもざっとまとめてみます。

「アイテム」について

  • d: 「樫の木」は樫の木ブロックを【採掘】する
  • d: 「石炭」は石炭ブロックを【採掘】する
    • d: 石炭ブロックを【採掘】するには「木のツルハシ」が必要
  • d: 「羊毛」は羊を【採掘】する
    • d: 「羊毛」は羊を「ハサミ」でプレイすることでも手に入る(この時、羊は丸刈り状態になる)
  • d: 「ハサミ」は「工作台」で「鉄の延べ棒」3個を【工作】して作る
  • d: 「木の板」4個は「樫の木」を【工作】して作る
  • d: 「工作台」は「木の板」4個を【工作】して作る
  • d: 「棒」4個は「木の板」2個を【工作】して作る
  • d: 「木のツルハシ」は「木の板」3個と「棒」2個を【工作】して作る
  • d: 「小麦」は小麦ブロックを【採掘】する*
  • d: 「パン」は「小麦」3個を【工作】して作る*
    • d: 「パン」は【満腹度】を3回復する*

一部、直接は関係なかったりするものもありますが、大体これくらい把握しておけば“必要”の[ゲームデザイン]はできる……かな? いや、まだ「エネミーが光源からどれくらい離れるとスポーンするのか」とか重要な点がいくつか抜けてるけど、実はその辺まだ自分でもちゃんと数値として把握してないので(^^;

ざっくり「どんな風に対処してゲームに勝利する(目的を達成する)か?」を考えることで、“必要”からの[ゲームデザイン]はできると思います。

綺麗なチュートリアル

序盤、拠点を作って安全に夜を超えられるようになるまでは、この“必要”の[ゲームデザイン]によって、自然なチュートリアルが行われます。

ぶっちゃけ『スーパーマリオブラザーズ』を思い出しました。それくらいスマートなチュートリアルじゃないかなーと。(2Dと3Dの、強制力の違い)

また【マップ】内に自然生成される廃坑を探索するようになると、さまざまな鉱物ブロックを【採掘】するためのツルハシや、出現するエネミーに対処するための武器アイテムなどが“必要”となり……これらによって自分で[ゲームデザイン]してはクリアしていく面白さが、『Minecraft』にハマっていく要因の一つなんじゃないかな? とか。

“消費”の[ゲームデザイン]

『Minecraft』に埋め込まれたもう一つの遊びが、“消費”の[ゲームデザイン]です。

余りすぎる素材

【採掘】はちょっと面倒な作業です。作業自体は簡単なんですが「目的の素材のある場所」というのが常に近くにあるわけではありません。

都合、その素材ブロックがある場所まで移動する必要があります。所持できるアイテムの量にも上限がありますから、大量に必要になるのであれば、何度も往復しなければなりません。

また素材ブロックは【採掘】してしまえば無くなってしまうわけで、それらを消費すればどんどん必要な素材ブロックとの距離は離れていってしまいます。

そんなわけで、素材は多少、多めに【採掘】することが通例となります。

そもそも【採掘】の方法自体、かなり惰性の強い作業なので、特に意図していなくても多少、多めに素材を拾ってしまったりします。

浪費しよう!(笑)

で、これが塵も積もれば山となる、ということ。

こうした余分については、もちろん捨ててしまっても構わないんでしょうが、次に必要になった時にまた【採掘】に行く手間が省けることや、最初に生成された【マップ】によって素材ブロックの上限は決まっていることを考えると、とりあえず保管しておいて……ということになります。

そしてダブつきます(笑)

アイテムを保管できる「チェスト」を作って放り込んでおくのですが、溜まってチェストが埋まってくると、「なんか作るかなー」という気分になったりします。

「あの段差ちょっと邪魔だから埋めるか」と整地*1これには「世界がブロック単位で構成されている」という性質が有効に機能してるんだろうな、とか思ったりしますしたり、階段上に掘った坑道を「いちいちジャンプしながら登ってくるの面倒だな」と「階段」ブロックを設置してみたり、“消費”に欲が向かうんですね。

設備投資(笑)

素材を【採掘】するために移動するのも、徐々に億劫になってきます。

また目的とするアイテムや建造物が高品質なもの、巨大なもの、精巧なものになるにつれ、必要な素材の数が増えていきます。そうなれば【採掘】自体にかかる時間も長くなり、これまた億劫に感じるようになります。

しかし『Minecraft』には、こうした問題を(ある程度)解決するアイテムもあるのです。

これが罠です(笑)

最初期に作るのは「重量感知板」あたりでしょうか。拠点を作ったとき、出入りのためのドアを付けますが、これを閉めるモーションがちょっと面倒です。開けるのは進みながら前方にあるドアをプレイするだけですが、閉めるにもドアをプレイしなければならないため、一旦後ろを振り返る必要があります。

この手間を省くために、ドアを設置した隣のマスに「重量感知板」を設置します。これによって、ドアの前に立つだけでドアが開くようになります。また一定時間が経つと自動的にオフになるため、ドアは勝手に閉まります。

このとおり、大変便利なんですが、いかんせん感知するのは「重量」だけなので、プレイヤー以外の NPC が乗っても、あるいはアイテムが乗ってもドアは開いてしまいます。そのため出入りの両方に置いておくと、ドアがドアの意味を成さなくなってしまうわけです。エネミー入りたい放題(笑)

そこで「工夫しましょう」ということになります。

また、鉄などの素材をある程度集められるようになってくると、「トロッコ」というアイテムがあります。これはダッシュなどより圧倒的な高速移動を可能とします。ただしレール上のみ、という制限があります。これによって拠点と目的地をつなぐレールを敷く[ゲーム]が発生します。

しかしトロッコで移動するにも、動力が無ければ進行方向にキーを押しっぱなしにしなければなりません。この手間を省くために、たとえば「加速レール」というアイテムを使用したり、ブタにトロッコを引かせたり、といった工夫があります。これらを作るためにも当然[ゲーム]が発生します。

そうやって自分で“消費”するために、また快適に遊ぶために[ゲームデザイン]をするようになると、より『Minecraft』にハマっていくことになります(笑)

回路設計とか基板工作とか好きな人は、レッドストーンの使い道とか考え始めると、あれこれ試行錯誤するのが楽しくなって止まらなくなる可能性があります。注意しましょう(笑)

References

References
1 これには「世界がブロック単位で構成されている」という性質が有効に機能してるんだろうな、とか思ったりします