[chat] 20100731#3

キャラによるブン回しを許容するシステムの話

玄兎

「で、えーと。ハンドアウトとかシーン制とか、そういう標準化されたフレームが出来たことで、ゲームシステム自体は純粋なデータゲーとか数理ゲームとか、カードゲームっぽい要素を取り込んだデザインが主流になってきたわけ。ゲームシステムとして面白い要素を収斂させたことで、シナリオもだいぶフレームワークが使いやすくなった感がある。オープニング、ミドル、クライマックスと分けて、クライマックスでゲームシステムが持つ面白いゲーム、まあ大半が戦闘なんだけど、それを持ってくれば体裁が整うっていうね」

シノフサさん（仮）

「やっぱり戦闘はTRPGの醍醐味」

玄兎

「でも戦闘だけならTRPGじゃなくても出来るじゃん。なんでもぶん殴って解決するっていうのもさー」

シノフサさん（仮）

「オヤクソクになっちゃってるのは認める。でも戦闘したい(笑)」

玄兎

「(笑)べつに戦闘すること自体を否定してるわけじゃないんだってば。でも定型化ってのも良し悪しで、パターンに飽きる人もいれば、安定して楽しめるって人もいる。それからまあ、それは別として、そういう遊び方が主流になっちゃったせいで、キャラにブン回されるセッションとか、シナリオとかっていうのは、ほとんど虫の息になっちゃった感があった。だから遺失技術になりかけたって言ったんだけど」

シノフサさん（仮）

「なりかけたってことは、なってはいないんだ。どういう風に残ってるの？」

玄兎

「現役のゲームシステムがあるんだよ。そういう、ある種古流のデザインをアップデートし続けてきたタイトルが」

シノフサさん（仮）

「へえ」

玄兎

「どっちかというとコアなファンが多くて、中間層の少ないタイトルなんだけど。あ、『サタスペ』ってんだけどね。だから蓬莱学園のシナリオを考えるなら、サタスペのシナリオを見るといいかもしんない、とかは思う」

シノフサさん（仮）

「すごい。話がちゃんと戻ってきた(笑)」

玄兎

「今回はちゃんと考えながら喋ってたからなあ。珍しく(笑)」

シノフサさん（仮）

「おい(笑)」

玄兎

「ものすごい遠回りしたけど、まあそれは後でサタスペのサプリメントとか貸すから許せ」

シノフサさん（仮）

「いっそ蓬莱学園のマスターやってくれるとかは？」

玄兎

「受けてもいいけど、それにはちょっと話し足りない。もう二度と戻ってこない話を続けてもいいなら、やる(笑)」

シノフサさん（仮）

「どうぞどうぞ(笑)」

玄兎

「じゃあ受けよう。蓬莱ね。スケジュールはまた後で決めるとして、こっちの話を続けよう。さっきのキャラによるブン回しのシステムの話。さっき話した『サタスペ』のデザイナーが、標準化によって切り離された個別ハンドアウトの応用について考えたタイトルに『シノビガミ』ってのがある。今現在で、たぶん最先端のアプローチ」

シノフサさん（仮）

「ああ、最近お気に入りとかって言ってたやつ？」

玄兎

「そう。まあ内輪だと実際にプレイできる面子は限られてるんだけどね。『シノビガミ』は、ゲームのコンセプトをコンゲームにして、ハンドアウトを全員PC1にしちゃったっていうのが面白い。これによって従来のナラティブロールの序列を破壊して、遊びたいハンドアウトが無いって状況を解消してる。それに従来の、クラスとの間で結びついてたナラティブロールを、ルンクエ型の、クラスと結びつけた文法から離して、言ってみれば結び目を緩めたり解いたりして、代わりにゲームコンセプト本体に結びなおしたっていうのも凄い。さっきも話したとおり、ゲームシステム上で最初から決められていれば、ゲームについてもプレイについてもユーザはちゃんと研究するから、最初からコンゲームですって分かってれば、みんなそれなりの準備をしてくる。そのためにゲームを抽象化してメソッドを作らせて、その上でハンドアウトとPCデータのテクスチャで編集すればいいように、ボードゲームっぽく見えるデザインになってるのはご愛嬌ってことで」

シノフサさん（仮）

「今きいてて思ったんだけど、昔の、その、ルンクエとか蓬莱学園とかってさ、全員PC1だったんじゃない？」

玄兎

「あ。なるほどそれだ。全員が主役で、だから自粛しないで暴れまわってたって言うのは、うん、ありそうだね。この辺は現役で個別ハンドアウト使って遊んでる人たちに聞いてみたいかも。PC2以降であるとき、行動を自粛するケースがあるか。有るなら有意な話になる。昔は全員PC1で、それをシステムが、システムというかワールドセットかな？　それが間接的に保証してたわけだ。いいな」

シノフサさん（仮）

「他にその、なんとかロール？」

玄兎

「ナラティブロール？　いや、勝手に作った造語だけど(笑)」

シノフサさん（仮）

「勝手に作ったんだ(笑)」

玄兎

「うん。まあいいじゃんか。桃色ガブリエルみたいなもんだよ」

シノフサさん（仮）

「絶望した！」

玄兎

「死なせてください。とか、だからそうじゃなくて。ナラティブロールが何？」

シノフサさん（仮）

「なんだっけ。あ、そうそう。ナラティブロールがね、てか他にナラティブロールを意識したタイトルって無い？」

玄兎

「うーん。僕自身は持ってないし、見たこと無いんだけど、発売前に公開されてたサンプルを見る限りでは、『天下繚乱』だったかな？　なんかそんな、時代劇を遊ぶようなタイトルがあるんだけど、それがたぶんナラティブロールを直接扱ってるタイトルっぽい。クイックスタートが、そのまま時代劇のキャストの役割らしい」

シノフサさん（仮）

「助さん格さんみたいな？」

玄兎

「たしかご老公とか新選組とか仕事人とか妖怪絵師とか、そんなのがいたと思う」

シノフサさん（仮）

「妖怪絵師？　ああ『妖奇士』？」

玄兎

「うん。僕もそれは思った。たぶんもっと召喚術師っぽいのかなーとも思うけど、サモナーっても『アリアンロッド』のサモンアラクネみたいな処理かも知んないし。いや読んでないから分かんないんだけど」

シノフサさん（仮）

「読んでないんか(笑)」

玄兎

「うん。まあその触れたら危険な匂いがプンプンするから触ってない」

シノフサさん（仮）

「なんでよ」

玄兎

「だって時代劇スキーだよ、俺。のめり込むに決まってんじゃん(笑)。それにさ、今の環境に時代劇スキーが一人しかいないんだよね。その辺の乖離で、たぶん相互に不満が残る形になりそうだから」

シノフサさん（仮）

「温度差があるんだ。じゃあしょうがない。旦那その辺うまくやれなさそうだし(笑)」

玄兎

「まーねー。しかももう一人の時代劇スキーが司馬遼太郎派でさあ、僕は池波正太郎派だから」

シノフサさん（仮）

「なにその派閥(笑)」

玄兎

「なんかうまく説明出来んけど、そこには海より深い溝があるんだ(笑)」

シノフサさん（仮）

「両方とも太郎なんだからいいじゃん。仲良くしなよ太郎派(笑)」

玄兎

「シバリョウとかどこの武将だよ！　イケナミショウってなんか地名にありそうだし(笑)」