更新履歴
2009/03/02 : 誤字、未変換文字の修正、および注釈を追加しました。
2009/02/06
- 玄兎
- 「また来た(笑)」
- シノフサさん(仮)
- 「昨日と態度違わない?(笑)」
- 玄兎
- 「そりゃ二日連続で来るとは思わないし。ありがとうございます。しかし物好きだねシノさんも。おっさんの話を聞きに来るなんてな」
- シノフサさん(仮)
- 「こんな時でなきゃがっつり話聞けないじゃん(笑)」
- 玄兎
- 「(笑)見舞いならサボりの口実にもなるし? 担当泣かせんなよ?(笑)」
- シノフサさん(仮)
- 「担当泣かせてんの旦那じゃん。こんなとこ逃げ込んで(笑)。でちょっと今日は聞きたいことがあってきたんだけど。なんかドクターに発達の話を聞いたって?」
- 玄兎
- 「ああ、エリクソン*1[エリクソン] = E・H・エリクソン。精神分析家として『幼児期と社会』を記し、「アイデンティティ」「モラトリアム」といった概念を創出した巨人。の話ね。面白かったっす*2[エリクソンの話] = この話の内容は「ペテン師が憂鬱。:: [chat] 20090203」にアップ済み。」
- シノフサさん(仮)
- 「どんな話だったの?」
- 玄兎
- 「エリクソンの、エピジェネティック・スキーム*3[エピジェネティック・スキーム] = 『幼児期と社会』の七章で表された、人間のライフサイクルにおける発達の段階的分析。日本語では「個体発達分化の図式」とされる。の話。初歩の初歩のあたりを軽くね」
- シノフサさん(仮)
- 「なんでそんな話に?」
- 玄兎
- 「ソーシャルスキルの習得モデルを考えてたから。ゲームってかTRPGに応用しようと思ってさ」
- シノフサさん(仮)
- 「えらい熱心じゃん?」
- 玄兎
- 「考えるのは道楽だから。それに関係ないこと考えてるときのほうが、仕事のプランも浮かびやすいし。効率的でいいでしょ(笑)」
- シノフサさん(仮)
- 「エコロジー(笑)」
- 玄兎
- 「地球に優しいゲーム馬鹿です(笑)」
- シノフサさん(仮)
- 「(笑)それで、応用できそうなの?」
- 玄兎
- 「ものすごく。発達課題がそのままのモデルに使える」
- シノフサさん(仮)
- 「たとえば」
- 玄兎
- 「最初の信頼と不信って分かりやすいんよ。えーとね、あれはたしか基本的信頼だったかな? アイデンティティ形成のベースになるものなんだと思うんだけど、それってのはゲームでいうと、それは楽しいゲームだって信頼するか、本当に楽しいのか? って不審に思うか、とかそんな関係なわけだ」
- シノフサさん(仮)
- 「最初に楽しいと信頼することが必要と」
- 玄兎
- 「そう。現状としてここの割り当ては、あーリプレイとかラノベとかまあ、そんなあたりが担当してる。で、次が自律でしょ。これは周りの環境の要求を知ること。ゲームだとまあ基本的な遊び方についての学習で、どう遊べばいいのかってことを理解する段階だあな。失敗すると羞恥心とか自己疑惑とかが生まれる。これはあれだ、自分にこのゲームができるのか? って思ったり、上手く遊べないことを恥ずかしいと思っちゃう状況でしょう」
- シノフサさん(仮)
- 「うん」
- 玄兎
- 「これも通信教育ではリプレイが担当するか、あとは実地で体験学習するとこだわな。遊戯療法なんかも組み合わせて考えると、この辺ではタブーを直接教えるんじゃなくて、遠回りにガイドしていくことが重要になる感じかな」
- シノフサさん(仮)
- 「じゃあ次は自発だから、自分でやりたいことをやってみるわってこと? 社会のルールじゃなくて遊び方のルールから、外れない中でやりたいことを考えるのが大事で」
- 玄兎
- 「そうそう。そこんところ見失って暴走すると、罪悪感につながる。はっちゃけすぎてごめんなさいってやつ」
- シノフサさん(仮)
- 「いるいる(笑)」
- 玄兎
- 「んで、えーとどこまでいったっけ。えー次は学童か。んじゃ勤勉さだ。遊び方を理解したら、今度はゲームに積極的に参加していって、そうすることがゲームの楽しさを高めるってことを体得する。ここではゲームマスターが積極的に攻略すべき課題を出していって、それをクリアしていく楽しみを覚えてもらうのがいいのかな。失敗すると劣等感が芽生えちゃうんで、気をつけるのはその人のプレーを否定しないことと、その人の選択をちゃんとゲームに反映させて、フレキシブルに展開を操縦することかなあ。あとフォローが一番大事なのはここで、失敗すると相手を潰しかねない」
- シノフサさん(仮)
- 「いるよねえ、潰しちゃう人」
- 玄兎
- 「いるんだよな。たしかに難しい問題なんだけど、ベテランさんには最善の一手でなくても後でフォローすればいい、ってスタンスでいて欲しい」
- シノフサさん(仮)
- 「最善の手なんて一つずつゆっくり振り返って、自分で気付けばいいと思う。最初っから最善の手が分かってたら、自分で見つける面白さがなくなっちゃうじゃん? そりゃ教える方は気分いいだろうけどさあ」
- 玄兎
- 「そうなんだよねえ。つい教えたくなっちゃうんだけど、本当にテクニックがあると自負するなら、相手が自分で気付くように誘導してあげりゃあいいんだよ。すぐに答えを教えちゃうのは指導力の無さを曝け出してるのと同じだろとか思うし」
- シノフサさん(仮)
- 「旦那も言うじゃん(笑)」
- 玄兎
- 「そりゃ自分のことだから(笑)」
- シノフサさん(仮)
- 「(笑)その後は? 学童期が終わったら次は思春期でしょ。アイデンティティの確立?」
- 玄兎
- 「だね。ここは自分のプレイスタイルとか、得意なことと不得意なことを自覚するってことになるかなと思う。自分の能力を自覚して、それを使ってどうしたいかとか、足りない部分をどう補うかとか、そういうことを考える時期だね」
- シノフサさん(仮)
- 「同一性拡散は、どういう意味になるの?」
- 玄兎
- 「自分のスタイルを自分で見つけられなくて、他のゲーム仲間との中でなんとなく遊んじゃうような状態。次になにがしたい? って聞いても答えが出てこないような。指示待ちタイプ」
- シノフサさん(仮)
- 「なるほど。うまく関連付けられてるじゃん」
- 玄兎
- 「でしょ。グループできて最初に兎のシナリオやったの覚えてる?」
- シノフサさん(仮)
- 「覚えてる覚えてる。あれももしかして同じライン?」
- 玄兎
- 「そうなんだよ。だから話聞いてびびった(笑)」
- シノフサさん(仮)
- 「(笑)知らなくても良かったんじゃないの?」
- 玄兎
- 「ちょっとそんな気もしてる。なんか自分だけの気付きがエリクソンに侵食された感じ(笑)。でもチュートリアルのモデル作りには自信が持てたし、ギブ&テイクだわな」
- シノフサさん(仮)
- 「それで次は?」
- 玄兎
- 「成人期だから親密性。自分のスタイルを確立して、自分の能力についてはっきり自覚したら、次は他のプレイヤーとの連携を考える。自分の能力と、相手の能力を自覚して、それぞれの役割分担に沿って効率的にプレイを進めるってこと。あと、単純に自分のスキルを理解してもらう、っていうことも入ってくると思う。この辺から自分で対話することを考えないと駄目になってくるね」
- シノフサさん(仮)
- 「それに失敗すると、孤立するわけ。まんまじゃん」
- 玄兎
- 「でしょ(笑)。能力を過信したり、ギブ&テイクの関係がちゃんと築けないと、プレーが孤立しちゃって上手く絡めないようになっちゃう」
- シノフサさん(仮)
- 「その後は? 成人後期だっけ」
- 玄兎
- 「壮年期だから、それだ。えーとね、次がたしかあれだ、うまい日本語訳がないやつだ(笑)。ドクターは継承性って言ってたかな。この段階で、自分のスタイルとかスキルとかを他の人に継承することを考える。もっと広義では、新しいプレー仲間探しとかも入るんだと思うね。継承するためには伝えるために、伝えられる言葉にしなくちゃいけないから、属人的なファクターをどうやってカリキュラムに乗せるかを考える段階だね」
- シノフサさん(仮)
- 「失敗すると、自己完結?」
- 玄兎
- 「なんつったかな、没頭とかいってたかな。あとは停滞。要するに広めようとしない」
- シノフサさん(仮)
- 「テーブルトークの場合は問題になりにくいよね、そこ」
- 玄兎
- 「そうなんだよねえ。趣味の話だから別に広めようとしなくてもいいんだけどさ。そうすると仲間が何らかの事情で減った時点でアウトになるんだよね。まあ減ったら減ったで新しいサークル探して遊びに行けばいいって人もいるし、それが可能な環境はオンライン上に整いつつあるんだけど、実はこれってものすごい先細りの危険を孕んでると思うわけ」
- シノフサさん(仮)
- 「人がいなくなっても別の場所で遊べるからいいやって考えてると、新しい人を増やさなくなるってこと?」
- 玄兎
- 「まあ、GM一人がいなくなった時点でサークルまるごと解散するとか、そういう状況からは脱するから、以前よりかは破滅への下り坂は確実になだらかになってるし、ものすごいプラスなのは間違いないんだけど。ただあれだ。それがあるって安心しすぎると、もしかしたら人手不足になったら広めてくれたかもしれない人の可能性を、潰してるかもしれないなあ、とか思っちゃって」
- シノフサさん(仮)
- 「悲観的だねえ」
- 玄兎
- 「そういう性分なんで。だからってみんなにもっと広めろよ、とか強要するのも好きじゃないし。危機を声高に叫ばれると、ネガティブな気持ちになって耳を塞ぎたくなる人も大勢いるわけでさ。特にこんなご時世だと」
- シノフサさん(仮)
- 「やれって言われてやることじゃないよねえ」
- 玄兎
- 「だと思う。商業レベルで頑張ってる人たちは、そこんとこ大いにがっつり励んでもらいたいとこだけど、エンドユーザーに要求するのは違うでしょ。コンシューマーはただ楽しいよってことを、全身でアピールしてくれればいい。その中にたまに布教活動する変り種がいれば、商業との組み合わせでわりとどうにかなる」
- シノフサさん(仮)
- 「それで変り種の旦那のオーラに感染しちゃったのが二十人ちょっと」
- 玄兎
- 「いや、えっと、スタジオチームの新規は十二人かな? カムバック組が四、三、一で、ニューカマーが三、四、んで、えー五人か? だから。あとチビの友達が三人ね。こっちはなんか勝手に増殖して、六人になったらしい(笑)。合わせて十五人も増やしたんだから、もう僕は義務を果たしたと思う。うん。果たした(笑)。GM経験者も七人増えたし」
- シノフサさん(仮)
- 「そういえばジュラさんとこで、また一人増えたらしいよ」
- 玄兎
- 「おお、すげー。頑張ってるなあ。ありがたいことです」
- シノフサさん(仮)
- 「それで話を戻すけど、最後はどうなるわけ? 老年期でしょ?」
- 玄兎
- 「正直そこだけちょっとまだ分類できてない。でもソーシャルスキルラーニングとしては、この領域は考えなくてもいい気がするんよね。ってことで、保留(笑)」
- シノフサさん(仮)
- 「えー。ここまで来て」
- 玄兎
- 「つか、悟りの領域は設定しない方がいいとは思ってる。抽象的な言葉で煙に巻くというか。そうしないと、達した時点でその人が終わっちゃうから」
- シノフサさん(仮)
- 「あれだ、鉄鼠の檻の。北方禅とか、漸悟とか」
- 玄兎
- 「あったね」
- シノフサさん(仮)
- 「悟ったら殺されちゃうよ(笑)」
- 玄兎
- 「頓悟禅でないと駄目だよなあ」
- シノフサさん(仮)
- 「実際はどういうことになるの?」
- 玄兎
- 「たぶんオールドゲーマーのことかなと思う。古いタイプのゲームしか遊ばなくなっちゃったコンシューマってか。たしか絶望が危機で、それが無能感からくるものってことだったから、そこんとこは最新のゲームについていけなくなってるってことかとか」
- シノフサさん(仮)
- 「旦那は大丈夫なの?」
- 玄兎
- 「うん。たぶん駄目(笑)」
- シノフサさん(仮)
- 「駄目なのかー(笑)」
- 玄兎
- 「だめだねえ。なんかこう、メタ視点が好きになれない。ただ好きになれないだけで、それが洗練された研究の成果であることは、それなりに分かってるつもりなんだけど。ただ僕は自分が遊ぶなら好きなことやって遊びたいんで、第三世代のスタイルには馴染みたくない」
- シノフサさん(仮)
- 「好みじゃしょうがないねえ」
- 玄兎
- 「まあそれはいいや。険が立つから」
- シノフサさん(仮)
- 「りょーかい。じゃあひとつだけ質問いい?」
- 玄兎
- 「なんじゃろ?」
- シノフサさん(仮)
- 「前にシステムデザインでゲームを軽量化するっての考えてなかった?」
- 玄兎
- 「今も考えてるよ。超簡単なシステムと、三段のラダー目標が決まったシナリオをコンポーネント化して、行動のカード化と、出力パターンをチャート化して、なぞるだけで遊べる使い捨てのセットとか。コンビニRPGって言われてたやつ」
- シノフサさん(仮)
- 「でもそれってボードゲームっぽくならない?(笑)」
- 玄兎
- 「なる。ボードゲームかテーブルゲームだね。あくまでTRPGっぽいものに触れてもらうのが目的だから、遊んでるとお話ができますよ、っていう。んで、そこから拡張する形で自由度を広げていくってのも、一つのアプローチじゃないかってか。たとえばスターターパックがあって、もっと自由に遊びたかったら完全版のシステム買ってね的な。今までも似たようなアプローチはあったけど、視覚化と極端な制限がうまいことできてなかったから、ファーストコンタクトした人がこれなに? で終わっちゃってたんだと思うわけ」
- シノフサさん(仮)
- 「ちょい待った。拡張させるプランは? 下手するとひきこもっちゃわない?」
- 玄兎
- 「こもるかもしんない。こもった場合はコンビニRPGを買い続けてくれる、いいお客さんになるんじゃない? まあ冗談はさておいて、背景世界を断片的に見せていくことで、他の冒険についても思いを馳せてもらうような、もっと他のものにも触れたいと思わせるような? この辺は今んとこ既存のものとあんまり変わらないアイディアしかないなあ。要はキャラ表現の幅を持たせていくってことだと思うんだけどね。そうすっとコンポーネントで制限されたものだけじゃ物足りなくなるんで、次回作を待つなり自分でアレンジするなりして遊ぶようになるでしょ。これあれね、フォーチュンクエストがコンパニオンからRPG、ボックスにスライドしたモデルね(笑)
- シノフサさん(仮)
- 「前にやってたカードゲームはそういう狙いがあったわけ」
- 玄兎
- 「カードゲーム? あああれか。あれは実験版だわな。作りこみすぎて失敗(笑)。ただまあそういう技術化するだけだと、場合によっては既存のプレースキルが形骸化しちゃうんで。属人的な方法も残さないとだめだと思うのね。完全オートメーション化して工業生産化すると、いざって時にロステクになって車輪の再発明をするまで待たなくちゃいけないし。まああれだ、銀英伝でヤンが残した民主主義の種火と同じだよ」
- シノフサさん(仮)
- 「いろいろ考えるもんだねえ。詭弁くさいけど(笑)」
- 玄兎
- 「うんまあいんだよ。俺はあれだ、ペテン師だから(笑)。えーそういうお題目は横に置いて。今回のエピジェネティック・スキームの話でもあったけど、最初の基本的信頼? あれを構築するには何らかのファーストインプレッションで、面白そうって思わせないといけないっしょ。ちょっと前に友達と話してるときにも出たんだけど、結局そのために下手な鉄砲数うちゃ当たるで、いろんな人がいろんな場面で楽しさをアピールしてくれたらいいなあと思うわけ」
- シノフサさん(仮)
- 「そのためには表現のバリエーションが多いほうがいいってんでしょ? 感性とか視点とかも、なるべく多いほうが良くて。人は信じたいものを信じたいように見せてくれる人を信じるっていう」
- 玄兎
- 「ザッツライト」
- シノフサさん(仮)
- 「(笑)ペテンだよねえ」
- 玄兎
- 「(笑)それがわかるあんたもでしょーが」
- シノフサさん(仮)
- 「って、時間大丈夫?」
- 玄兎
- 「あ、やべ、診察室行かないと。過ぎてら」
- シノフサさん(仮)
- 「ごめんごめん。それじゃ、また今度」
- 玄兎
- 「おう。また」
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