例によって「そんな当たり前のこと」と言われるかもな話です。
ハンドアウトの話を書いたり読んだりしていて、ふと気付いたことが一つ。
シナリオって GM が一人で作るものなの?
最終的にはそうかもしれないけど、イチから全部、自分で作らなきゃだめ?
……という疑問。
ゲームに予定調和を盛り込んで、妥協点を見出しやすくする。
そのための一つの手法としてハンドアウトがあるんだろうと思います。
それはそれでいい。
でも、ハンドアウトを使わなくても、それよりずっと前の段階から、予定調和の流れを作ることは可能だと思うんですよ。(使いどころを選ぶ手段ではありますが)
魔法の呪文は
これだけでプレイヤーへの心理効果と、シナリオ作りの負荷軽減が期待できます。
もちろん GM が、ちゃんと要望を拾ってシナリオを書くことが前提です。
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【一、心理効果】
これは「次のシナリオの方向性を示唆できる」点にあります。
複数の意見が出たときも「そのうちのどれか、または近似値」になる。
示唆される方向性は、ゲーム前に明文化して配られるハンドアウトほど具体的ではないけど、その分だけ行動の自由さは確保できます。
またこれ、別の心理効果があって、「プレイヤーに自分の(他人のでも良いですが)キャラクターが活躍できる方法を考える機会を作る」という点も期待できます。
そうすることで、キャラクターデータの読み込みが深くなったり、ゲームシステムやワールドへの関心が強まったりと、より意欲的なゲームへの参加を促せるんじゃないかと。
最初から GM はプレイヤーを接待するものだと思ってるような、“お客さま”感覚のプレイヤー相手には不向きですが、まあそういう人を接待するのは僕の趣味ではないので、考えの埒外に置いています(^^;;
みんなで楽しもうと思ってくれる人と遊びたいですから。
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【二、シナリオ作りで楽ができる】
これは言うまでも無く、「どんなシナリオにしようか」と最初に悩む手間が省けるって話です。
プレイヤーから要望が出れば、まずその要望を叶えられるシーンを考えて、そこから余白を填めていけばいいんですから、これは随分と楽が出来るんじゃないかと。
複数の要望が出たらもっと楽で、それぞれのシーンをパッチワークのように当てはめていって、それぞれのシーンの連結部分だけを考えれば済みます。
ああ、なんてお手軽(笑)
ついでにこれ、プレイヤーの好みやクセも分かります。
何が好きかを雑談から類推しなくても、直球で聞けるわけで。
なんて素晴らしいズル(笑)
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なんだか GM ばっかり楽するような話ですが、人間は楽をしようと知を編み、技術を発明する生き物で、僕は GM ばっかりやってる人間なので仕方がありません。
僕がもっとプレイヤーをやっていたら、また別の、プレイヤーが楽する方法を考えてたでしょうが、残念なことにそうではないのでプレイヤーが楽する方法は、プレイヤーをたくさんやってる人たちにお任せします。
人間は――少なくとも僕は――そういう生き物です(笑)
それにこれ、GM だって苦労します。
要望に応えるのは、時として大変なモンです。
それに“相談しないシナリオメイク”に比べても、余計にバランス感覚が求められます。
プレイヤーの要望を無原則、無制限に取り入れていてはゲームに偏りが出ます。
要望を出したプレイヤー“だけが”活躍するようなシナリオを書くわけにもいきません。
あんまりカッチリしたものでなくてもいいですが、前回活躍したプレイヤーの要望は保留にするとか、採用してもシーンの重要性を下げるとか、GM の中で調整作業は必要になります。
それができないと、いわゆる「えこひいき」になってしまいますから。
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いいゲーム、愉しいゲームが遊べた後は、誰からともなく感想戦(ゲーム中のナイスプレーを誉めたり、ミスを指摘したり、やろうと思ってできなかったことを告白する雑談。「検討会」とも)が始まるモンです。
そして感想戦が参加者に与える心理効果はとても大きい。
これはその環境を、人工的に作り出す呪文。
「次回どんなゲームをやりたいか?」という質問に対して、ほとんどの人間は「今回できなかったこと」と「今回よかったこと」の二つを連想します。
それらが出てくれば、そのまま感想戦に繋がっていく。
そういう道理です。
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例によってプレイヤーが固定されないコンベンション、フリーセッションでは使いどころの難しい(そもそも使えるのか怪しい)手法ですが、グループを作って長く遊ぶキャンペーンスタイルのゲームには有用だと思います。
みんなもっとキャンペーンゲームを遊ぼう!(何)
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