試写会行ってきました。
眠かったです。半徹だったんで。(映画が眠かったわけじゃない)
で、評価。
ものすごい地味な映画です。
派手なシーンもあるんですが、話はえらい地味です。
それだけに僕は好きです。ドラマティックじゃないのがいい。
ドラマティックとリアリティは、ほぼ対極の存在です。
そしてリアリティとリアルもまた別の存在です。
ドラマが見たけりゃ昔の映画見ます。
リアルが見たけりゃ記録映画があります。
リアリティは、ファンタジーに属するものです。
リアリティを描くのは、だからエブリデイ・マジックに等しい。
閑話休題。
ドラマとリアルとリアリティの差は、いいんだ今は。
『キングダム』ですな。
「ガンドッグみたいだ」と思いました(笑)
いや、銃撃戦の激しさがリアリティあったんで。
そういう目線じゃなくて、普通に?
普通に見ると、えーと……なんというか僕はすぐに政治色とか社会へのバイアスとか考えちゃう人なんで、あんまり普通に見れない人間なんですが。
そういうの極力省くと、んー。
個別の登場人物を掘り下げる作業を、ほとんどしてないように思います。話の主題はあくまで“隠された歴史”にスポットライトを当てることであって、キャラクターの個性化は、約一名を除いて全員クールガイです。ヒューマンドラマがご希望であれば、この映画は大ハズレと言って良いでしょう。
そんな中に約一名、えらく個性化されたキャラクターがいます。で、見事に浮いてます。可哀想なくらい浮いてます。まあアメリカとサウジアラビアとの差を見せるための存在だったんでしょう。が、どーも彼の存在が、僕はあまり好きではない。
彼自身はコミカルなキャラクターなんですが、彼の存在によってサウジの人々が、ステレオタイプなムスリムに“されてしまう”のがいただけない。
まあ、さっきも言ったとおりキャラクターの掘り下げについてはあまり考えていないように思える作品なので、ステレオタイプにすることにもそれなりの意味があるんですが、もう一つ、政治色を鑑みるとこれはちょっと失敗なんじゃないの? と首を捻ります。
それでも僕はこの映画が好きだと言えるのは、エンディング直前。
一つのキーフレーズが登場します。
とても人間らしいその言葉が、僕は好きです。
少なくとも、そこには建前も美談も無い。
善悪の天秤に載せたら、間違いなく悪に傾くでしょう。
だから良い。
醜悪な本心が、とても輝いている。
……たぶんあれは、露悪によって建前上のテーマを守るためのもので、そういう風に(輝いているとか)思っちゃいけないモンなんだろうね。とは思うんだけど、とてもとても輝いて聞こえて。
それは人間の偽らざる本質。
故にこそ戦争は止まず、地球上に人命の失われない日を無くした根源。
あるいは人類が万年発情期になった、根本かもしれません。
そうか、そういう考え方もある……
いかん。また脱線した。
とにかく『キングダム』という映画、僕は好きですが推奨しません。
映画史の中では(政治的意図による何者かの介入を受けない限り)凡作として淘汰される幾千万の作品の一つでしょう。
レビューというにはイロイロ難がありますが、以上が眠い中、試写会に行ってきた感想です。