ネタが無くなった……わけでもなく、普通に惚れたのでご紹介。
久しぶりにいい新人が出てきたなァ、とか偉そうに読んでます。
(まあその、新人と言っていいものか分からんこともあるんですが)
BEAM COMIX より『群青学舎』(BEAM 内の作者のページ:こっち)
絵も上手いんだけど、話のテンポがいい。
まあ第一話『異界の窓』なんかは「で、なに?」とか言う人もいるかもしれなくて、だから正直この話をコミックスで一番に持ってきたのはどうかと思うんですが(第二話と入れ替えたら、もっとお客さん捕まえやすいと思う)、逆にこれを描けるっていうのは、ちょっと凄い。
ショートフィルムの空気がある。
そうかと思うと、たまに「このコマどういう意味?」ってのが入ってきて、それが腹が立つくらい大事なシーンなんですね。で、読み進めていくと「もしかしてアレそういうこと?」とか気がつく瞬間がある。
……まあ僕に読解力が無いだけだって話もあるんですが。
なんだろうな、この感覚は。うーん……
ああ、そうだ。
友人同士が隠れて付き合ってるのを、知らないで見てる気分に似てる。
……なんのこっちゃって話かも知れないけど、あるでしょう。こう「あのときあの人なんであんなコト言ったんだろ?」とか疑問に思ってて、後になってその意図が分かって「ああ!」みたいな。
かといってミステリーのトリックみたいなつまらん目的意識(※1)では全然なくって、なんかもっと感情的に、衝動的に出てくるようなもの。
この漫画、メインキャストが記号になりきってません。
作家の身近にこういう人がいる(いた)んじゃないか? ……とか思うくらいに人間です(※2)。漫画の構造上、最終的には「いねーよ」ってキャラクターになってるものもありますが(笑)
まあ、たまにコミカルな記号のキャラクター(ピンク・チョコレートの博士とか)もいるんですが、邪魔にならない程度にしか出てこないんで全体の空気を壊すこともありませんし。
短編集みたいな構造なんで、シリアス、コメディ、ファンタジーと入り混じってます。
いいですよ。オススメです。
※1:人間が保身のために行動するときって、大抵つまらないんですよ。魅力が無い。
※2:かといって厭味が無い程度の記号化がされてるので、読みにくいことも無い。ちゃんと。