[番外編] 45 : 嵐の山荘

――だからもし僕が帰らなかったとしても、それは僕らの運命なんだと思ってくれ。そう。僕が今日来た山荘にカボチャのオバケが……だからそうじゃないんだって。一人だよ。一人で来たんだって。信じてくれよ。一人で……もういい、それはどっちでもいいから、もうとにかく聞いてくれ。そう、カボチャのオバケが、オレンジ色の、目と口ばかりがメラメラと燃えて……鼻の穴? 変なことを気にするんだね。でもそんなことは重要じゃないんだよ。だからカボチャの……ああ、もういいよ分かったよ! 君ともこれでお別れだ! 君がそんなに疑り深いなんて、僕を信じてくれないなんて! ああ、そんなことを言ってる場合じゃなかったのに。でもいいさ。最後に話せたのが君でよかったと思っているよ。本当だとも。僕が殺されてしまっても、僕はもう思い残すことなんてないよ。ああそうさ。さようなら。愛しているよ。
「トリック・オア・トリート」
 受話器を置いた男の背中に呪文のような言葉をなげかけ、カボチャ頭をかぶった女は、鉈を振るって男の頭を割ると、ベッドに横たわる裸の女のとなりにほうり捨てた。

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