[掌篇] 39 : 指輪物語

――結婚指輪の意味を、ご存知ですか?
――あれはかつて幸せのバロメータだったのです。
――よく幸せ太りと言うでしょう。
――幸せな時期は、外せない。
――その逆もまた真なり。
――今では一概には言えないようですが。
――さて、サイズはどうしましょう?
「一号大きいものを」

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 この話は、ある教師に聞いたもの。
 もちろん例によって与太話(話し上手でつい信じちゃうんですけどね)なんですが、そういうのを口実にした時代があっても面白いかもしれないと思ったもんで、よく覚えてます。
 社会的地位を不当に低く扱われていた女性が、離婚事由として「指輪が抜けてしまう」と告げる。要は「旦那の稼ぎで満足に食べられていない」という原始的かつ切実な理由を、結婚当初との比較として物理的に見せつける、その手段としての結婚指輪というのも面白いなと。
 ストレスのあまり過食症になる人もいるわけで、一概にそれだけが基準というわけにもいきませんが、一つの基準として考えるとアリだなと。
 ……考えてみるとブラックユーモアに属するネタのような気もしてきました。
 でもこれ、ゲーム世界(Lifesphere)に採用しちゃったぞ。むむ。