[掌篇] 29 : 石になった少女

 家を出たいと少女は少年に言った。
 思えば幼い恋心だったのだ。
 少年は、一緒に行くよと言ってくれた。
 だが、彼は来なかった。
 三日のうち泣き晴らしてから母に聞いた。
 町の雑貨屋が、放火に遭ったと。
 少女の瞳はかたく閉ざされた。

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