ホワイトデー他

 日付が変わってホワイトデー。
 おかしなお菓子を送ってきた七名には、おかしなお返しをさせていただきました。
 今年で十年目です。これで最後なら良いのですが。

 キャラメルボックスTVは16日放送です。
 翌週あたりには手配が終わることでしょう。
 今月は何にしましょう。早くも弾切れの敗戦ムードです。

 キャンペーンブックが17日に発売します。
 それにともなって、夕映えの綺麗なあの街を思いました。
 夕日の向こうのパスポートは、夏までに発行したいものです。


【夕映えの街の物語・開幕前(仮稿)】

 すべてに平等であるはずの太陽が、顔を赤らめ愛をささやく夕暮れ時。
 誰の心にも懐かしいあの日を思わせる、何者よりも力強いくせに、何者からも同情を誘う、朱。
 暮れなずむその間にだけ、どこにでも現れる幻の街。
 そんな切ない伝説の残る土地、暮間市。

 一軒の喫茶店があった。
 古いジャズのレコード盤が、ノイズというインプロヴィゼーションを楽しんでいる。
 純白のカップの中、初恋のように甘やかで、悪魔のように黒い水が、ひとしずくずつ溜まっていく。
 まるで砂時計のよう。
 軽やかな安っぽいドアベルが鳴り、潮の香りが店中に広がった。

「いらっしゃい」

 艶やかで優しげな、母のような女の声だった。

「コーヒーが出来るまで、少しお話でもどうかしら?」