■シナリオの分類
よく使われるシナリオの分類には、舞台による分類と、シナリオの課題による分類との二つがある。
舞台分類法(古典的分類)
舞台分類によってシナリオを分類する方法は、「テーブルトークRPG=剣と魔法のファンタジー」だった時代によく使用されていた。ゲームシステムのジャンルも増え、シナリオの形式もゲームの遊び方も多岐にわたるようになった現在では、この分類が適用できないゲームシステムも少なくない。
- ダンジョンシナリオ
- その名の通り、ダンジョン(迷宮)やそれに類する閉鎖空間を舞台とするシナリオのこと。ダンジョンとされる空間には罠や敵といった危険がつきものとされ、安全は保証されていない。そうした危険と対峙しながら探索をしたり、あるいは危険の駆除そのものを目標としたりする。
- ワイルダネス(ウィルダネス)シナリオ
- ワイルダネス(大自然)を舞台とするシナリオのこと。その土地の環境や、外敵との遭遇戦などをメインとし、水や食料などの資源を管理しながら目的地へ移動したり、なにかを探し出したりするシナリオが多い。
- シティシナリオ
- 都市や集落など、人間またはそれに類する友好的種族の生活域を舞台とするシナリオのこと。他の二つと異なり、舞台そのものには危険が少ないが、代わりに人間社会ならではの課題や障害と立ち向かうこととなる。
課題分類法(文芸的分類)
課題分類による分類法は、そのシナリオでPCたちがとるべき行動や模範的な解決策、シナリオに予定された事件の傾向などを基準とする。舞台分類に比べてさまざまなゲームシステムに対応できるため、現在ではこちらの分類法が主流となっている。ただしそれぞれの呼称に関する明確な決まりはないため、フィーリングで使われることが多い。
- ハック&スラッシュ
- 迷宮やそれに類する敵地の中を探索し、財宝や資源を手に入れたり、敵との戦闘をプレイすることを目的としたシナリオ。戦闘イベントの頻度または比率が高く、戦闘や資源管理のルールを最大限に活用する、ゲーム的な面白さを追求したものが多い。
- 戦闘
- ハック&スラッシュのうち、特にスラッシュ(戦闘)に重点を置いたシナリオ。拠点防衛や敵陣の強行突破など、とにかく戦闘行為によって状況を打開する。戦闘と資源管理のルールを最大限に活用するのはハック&スラッシュと同じだが、探索の要素が少なくなる。
- 探索
- ハック&スラッシュのうち、特にハック(探索)に重点を置いたシナリオのこと。ある物品や人物、情報などを探して回る。対人交渉や隠密行動など緊張感のある頭脳プレイに重点が置かれるものが多い。戦闘行動は必ずしも必要とされないか、極力控える傾向があり、代わりにそれ以外のデータを活用することが求められる。
- 謎解き
- ある謎の真相を解明することで課題を解決するシナリオのこと。情報収集に重点が置かれるところは探索シナリオと共通しているが、目標は謎を解くことである点が異なっている。また謎を解くための手段はあくまで論理的であることが求められ、暴力的手段が推奨されるケースは少ない。(ただし真相が判明した後で戦闘が発生することは良くある)
- サバイバル
- 閉鎖空間からの脱出や、敵地からの離脱など、とにかくPCの生き残りを目的とするシナリオのこと。PCの能力の限り手段は問わないものから、シナリオ独自の特別なルールによって制限がかけられるものまでさまざま。主に資源管理の要素が重要となる。
- お遣い(シナリオ)
- NPCの指示通りに次々と小さな課題をクリアし続けるシナリオのこと。「言われたままに動く子供のお遣いのようなもの」というニュアンスがあり、良い意味として使用されないことが多い。特に課題の解決方法に幅がなく、プレイヤーは指示通りに行動するだけのシナリオが、このように分類される。
- 箱庭、渦型、群像劇、ドラマ
- 舞台設定と多数の登場人物たちの行動によって、目標や結末が変化しうるシナリオのこと。用意された舞台の中であれば自由に行動できるため、場所ごとに用意されたイベントや、PC、NPCに関わらず他の登場人物とのコミュニケーションに重点が置かれる傾向にあり、ゲーム的な要素はゲームシステムそのものの傾向に依存することとなる。