■ガイドとしてのNPC

enter image description here

■ガイドとしてのNPC

最後にシナリオのガイドとしてのNPCについて整理しておこう。キャラクターの七つの役割においては援助者、犠牲者、指示者がこれにあたる。彼らはその行動や存在そのものによって、PCをある方向へと誘導する。

誘導というと、PCやプレイヤーの主体性を貶めているように考えるかもしれないが、最終判断は常にプレイヤーにあり、誘導とはその判断材料の提供にすぎない。

誘導の手段にはさまざまなものがあるが、これらは「押し」と「引き」という二つのどちらかに分類される。「押し」とは直接的にPC(またはプレイヤー)に行動を要請するアプローチ。「引き」とはそれと匂わせてPCの行動を誘発させるアプローチだ。

ガイドとしてのNPCは、特にゲームデータを必要としない場合が多い。それはPCと敵対しないため、ゲームに用いることが少ないためだが、犠牲者が犠牲となった理由や、指示者が自身で行動しない理由など、ゲームデータが彼らのガイドの説得力を補強することもあるので、可能であれば用意しておくに越したことはない。

プレイヤーの支援者として

ガイド、誘導ということで、彼らの振る舞いはゲームマスターの都合による一方的なものと見なされることもあるだろう。しかし実際には、それがプレイヤーに対しても価値のある行動となりうるのだ。

シナリオにおける葛藤と選択について思い出してみよう。それらはゲームに緊張感と達成感をもたらす重要な要素である。しかし同時にそれは、プレイヤーにとって大きなストレスとなるものでもある。こうしたストレスを軽減する上でも、NPCによるガイドは有効に機能する。

NPCによって選択が保証されることは、しかしシナリオの先を知るゲームマスター自身の保証ではない。そのため実際には間違った選択であるかもしれないのだ。それによって、あくまで不確定な未来という緊張感を保つこともできる。

ただしNPCがプレイヤーを裏切り続けるなら、プレイヤーはNPCの保証、ひいてはNPCを操作するゲームマスター自身に対して不信感を抱き、ストレス軽減の効果が著しく低下することもある。そこには充分に注意したい。