[note] ゲームシステムを自作する遊び。(5):システムの仮組み

(T)RPG の遊びの一つに「ゲームシステムを自作する遊び」があって、でもその方法ってあんまり語られてこなかったよね? じゃあ実際にゲームシステムをどうやって作るの? という話。

の、第9段。

今回は実際にゲームシステムを仮組みしていく工程についてです。まだ仮ですんで、気楽に行きましょう。

ゲームシステムを仮組みする

ではさっそくゲームシステムを仮組みしてしまいましょう。

前エントリ「コアシステムとは」でも書いたとおり、ゲームシステムの核であるコアシステムは、以下の4項目を揃える必要があります。

ゲームシステムの核になる4要素(コアシステム)

  • 成否判定
  • 各種データ
  • 資源管理
  • 進行管理

どこから決めても構いませんが、基本的には自分が慣れ親しんだゲームシステムを踏襲するのが良いと思います。たぶん、ゲームシステムを自作してみたいと考えている人のほとんどが、遊んでみたい物語を、自分の慣れ親しんだゲームシステムの遊び方で解釈していると思いますので。

で、そうすると最初に決まるのが「進行管理」なんですね。そこ決めないと何もできません。というか他のルールは好みや慣れで細やかな機微を表すには適していますが、正直それほど大きな差異にはなりません。

ただ、たとえば『クトゥルフ神話TRPG』のように古いゲームシステムに慣れ親しんでいる場合、そもそも進行管理って何? ということもあるかもしれません。なのでここでちょっと、そのへんの概要を説明しておきます。

進行管理ルールとは

進行管理ルールとは、その名の通りゲームの進行を管理するルールです。 (T)RPG のゲームセッションをどのように始め、どのように終えるのか。ざっくりいえば、そういうものです。

進行管理には、特に決まりごとのない「フリースタイル」、ゲームの状況をシーン(場面)ごとに切り分けて管理する「シーン制」、 PC 単位で順繰りにターン(手番)を回していき、全体で決められた回数だけ周回(サイクル)したら終了となる「サイクル制」などがあります。

主な進行管理ルール

  • 特になし(フリースタイル)
  • シーン制
  • サイクル制

進行管理ルールの特性

基本的にはあなたが慣れ親しんだルールで良いと思います。ですが、もし敢えて新しいことに挑戦したいのであるなら、それもアリです。そうであるなら、この小節を読んでおいてください。そうでないなら読み飛ばしてもらっても構いません。

進行管理ルールは、どれを使用するかによって「どのように物語を作っていくのか」が大きく変わります。これは物語をいつ用意するのか、誰がどのように物語を語るのか 1)ルールによって定められた参加者(特にプレイヤー)の介入権の範囲がそれぞれ異なるからです。

進行管理ルール:特になし(フリースタイル)
進行管理ルールを持たない場合、原則的にゲームの進行管理はすべてゲームマスターの裁量によって行われます。そのためゲームマスターにはゲームの状況に対し、絶対的な最終決定権が与えられます。
これによって、フリースタイルでは基本的には「PC の言動を介した提案に応えながら、物語はゲームマスターが語る」遊びに最適化されていると考えられます──もちろんフリースタイルは自由なので、運用次第でどうとでも化ける可能性はありますが、それはゲームマスターの属人技能に委託するということです!
進行管理ルール:シーン制
現在のシーン制では予め「大きな一つの物語」を、シーン単位に切り分けて用意しておきます。そしてシーン毎にゲームマスターと、場面ごとに決められた主役との間で、物語の枠内での掛け合いを演じることに注力します。
こうしたことからシーン制では「安定感のある大きな物語の中で、NPCとPCの交流する場面を協力して語る」遊びに最適化されていると考えられます。
進行管理ルール:サイクル制
現在のサイクル制では「大きな一つの物語」は用意せず、その断片を PC や NPC に与えます。そしてプレイヤーはその与えられた断片を元に、自分の手番ごとに用意された選択肢(ムーヴ)の中から適当なものを一つ選び、より具体的な状況として物語を語ることに注力します。
こうしたことからサイクル制では「ゲームシステムの枠内で参加者一人ひとりが少しずつ物語を語り合う」遊びに最適化されていると考えられます。

これらはあくまで傾向であって、絶対にそうなるといったものではありません。ただ、こういう考え方もあると知っておくことは、何かの役に立つかもしれません。

コアルールを仮組みする

進行管理ルールをどうするかを決めたら、残りの3要素(コアルール)についても決めてしまいましょう。

成否判定

成否判定については、これまた慣れ親しんだゲームシステムから持ってくれば手っ取り早いでしょう。どんな成否判定にせよ、確率の見通しを基盤にしたユーザのプレイ感は、九分九厘、反復学習による慣れが全てです。

珍しい判定方法は目を引きますが、それが良いプレイ体験として受け入れられるかどうかは、珍しさではなく一貫性や透明性、あるいは五感が得る快感だったりします。ですので「面白い判定方法を思いついたのでこれを使いたい」ということでない限り、奇をてらう必要はありません。

基本的に成否判定の方法は以下の三種類に大別でき、そこから更に、その値を評価するための基準値の決め方、実際に基準値を使ってどのように評価するかによって細分化していきます。

成否判定で値を求める方法

  • PCのデータから必要な値を参照する
  • 判定を行う場でランダマイザを使って値を決める
  • 予め手札を用意しておき、その中から選んだ値を使う(使った値は場に捨てるなどして再利用できなくする)

成否判定で基準値を決める方法

  • ルールで決められている
  • キャラクターデータに準拠する
  • シナリオまたはゲームマスターが決める

成否判定の判定方法

  • 基準値以上なら成功、基準値より低ければ失敗
  • 基準値以下なら成功、基準値より高ければ失敗
  • 基準値と同じなら成功、基準値と違えば失敗

この辺は経験的に知っていると思いますので詳細については割愛します。

各種データ

次に決めるのは各種データですが……これは前に書いたとおり、その内容については非常に多岐にわたっています。ですが仮組みの段階でそれらをすべて決める必要はありません。最低限、キャラクターの骨子に当たる部分だけがあれば十分です。

それもキャラクター作成のルールを俯瞰できるレベルである必要はありません。これは次のエントリの話になりますが、テストプレイ用のクイックスタートキット(QSK)に必要な分だけで良いのです。

大抵のゲームシステムでは、以下の項目があれば十分だと思われます。

QSKに必要な最小限のPCデータ

  • クラスやスタイル(種族や氏族、職業など)
  • 判定用の値(能力値、技能のうち共通のもの、よく使うものなど)
  • コンテスト(戦闘など)に使うデータ(テストプレイ用なので決め打ちでOK)

資源管理

資源管理のルールについては、あなたが考えるゲームに必要そうなものを上げておきましょう。

戦闘をするなら生死に関わる管理資源(ヒットポイントなど)が、魔法を使うなら使用回数に関する管理資源(マジックポイントなど)が、その他にも超人的な能力(ブレイクスルーやヒーローポイントなど)や所持金など (T)RPG のゲームシステムにはさまざまな管理資源がありますが、仮組みの段階ではパッと思いつくものだけで構いません。

資源管理のルールは最低限、以下の3つの事柄について決めておきましょう。それ以外にも必要なことがあって、今決められそうなら決めておいて構いません。

資源管理ルールの基本

  • その管理資源はどうしたら増えるのか、また減るのか。
  • その管理資源には上限があるのか。また下限はあるのか。
  • その管理資源が0になったらどうなるのか。

今回はここまで

といったあたりで、今回はここまで。

ひとまずこれまでに決まったことは、きちんとメモしておきましょう。大雑把ではありますが、それでも意外と大した分量だったりします。

仮組みでは最低限これくらいは決めておいて、後は思いついたものを足したり引いたりしていくことになります。

次回は QSK の作成と、テストプレイについて書いていこうかと思います。

References   [ + ]

1. ルールによって定められた参加者(特にプレイヤー)の介入権の範囲