[note] ゲームシステムを自作する遊び。(3):〈世界観〉作り(3)

(T)RPG の遊びの一つに「ゲームシステムを自作する遊び」があって、でもその方法ってあんまり語られてこなかったよね? じゃあ実際にゲームシステムをどうやって作るの? という話。

の、第7段。

今回も〈世界観〉について──の中から、特に「障害」と「世界設定」についてです。

〈世界観〉とは(再掲)

〈世界観〉については「ゲームシステムを自作する遊び。(1):構成要素」で、下記の 4つの項目に分けて説明したとおりです。

  1. 〈世界観〉
    1. 物語観
    2. PCの立場
    3. 障害
    4. 世界設定

あなたがゲームシステムを自作したいと考えるなら、この内の少なくともどれか一つについて、自分なりに作りたい要素を持っていることだと思います。ですが実際にそれをゲームに取り込むには、ゲームにしやすい形へと整形したり、逆に〈世界観〉に合わせたゲームのデザインというものを考えていく必要があります。

3. 障害

PC が何らかの目的達成を企図したとき、物語ではそれを邪魔する存在、あるいは出来事が登場します。ゲームとしても物語としても必須であり、それがどのようなものかによって物語のテーマやカラーも決まるという、非常に重要な要素です。

障害について考える上で、まずは大きく二つの事柄について決めておく必要があります。

  • PCを妨害するのはどんな存在か(敵対者)
  • PCはどうやって障害を乗り越えるのか

PCを妨害するのはどんな存在か(敵対者)

PC の立場については、前エントリで考えてもらったとおりです。ではそうした立場の PC が、いったいどんな物語の登場人物となり、どんな障害を乗り越えるのか。その際に PC を妨害する存在──敵対者──はどんなものか。

剣と魔法のファンタジー世界では、モンスターと呼ばれる敵性存在が設定されていることも多いです。また超常能力バトルの世界では、主人公と同じく超常能力を持った人間が敵として登場することが多いようです。現代の特殊部隊の物語であれば敵国のエージェントが敵として主人公たちを妨害するはずです。

物語の登場人物を「能力」「価値観」で大雑把に整理してみると、以下のようになります。このうち障害となりうるのは「対抗者」と「怪物」。要するに障害になるのは「主人公と異なる価値観」を持つ存在です。

  • PCと同種の能力、同種の価値観を持つ = 仲間
  • PCと同種の能力、異なる価値観を持つ = 対抗者
  • PCと異なる能力、同種の価値観を持つ = 協力者
  • PCと異なる能力、異なる価値観を持つ = 怪物

PCはどうやって障害を乗り越えるのか

障害にはさまざまなものがありますが、障害を乗り越える方法は、大きく分けて以下の四種類に整理されてしまいます。これら障害を乗り越えることが目的達成の大きな足がかりになったり、障害を乗り越えること自体が目的になったりします。

どのように障害を乗り越えているのかを想像し、明確にイメージすることで、その物語がどんな舞台で繰り広げられるものなのかも決まってくるでしょう。これは後の「世界設定」にも関係します。

  • 身体能力
  • 社会能力
  • 特殊技能
  • 戦闘(コンテスト)
身体能力
身体能力によって乗り越える障害とは、そのまま障害物のことです。障害物にはその場から動かずに通行を妨害するものから、自ら動いて PC の邪魔をするものまで様々です。 PC が何かを飛び越えたり、壊したり、うまく躱したり、そうしたアクロバティックな身体能力によって障害を乗り越える場面は、あなたの想像する物語に登場するでしょうか?
社会能力
社会能力によって乗り越える障害とは、おおむね非協力的な(意地の悪い)人間を指します。会話や立ち居振る舞いといったコミュニケーション能力、あるいは経済力や人脈といった社会資本によって、非協力的な人間から協力を引き出す。あなたが想像する PC が活躍する物語に、そうした場面はたくさん思い浮かびますか?
特殊技能
障害を乗り越える特殊技能というのは、たとえば鍵開けや罠はずし、あるいは変装や隠密行動、コンピュータのハッキングなどです。何か一般人が身に着けようもないはずの技能によって、さまざまな障害を乗り越える場面が、あなたの想像する物語にはありますか? あるとしたら、それはどんな技能でしょうか?
戦闘(コンテスト)
戦闘というのは、なにも生命の奪い合いとは限りません──まあ実際のところ、 (T)RPG というゲームにおいては、戦闘といえば生命の奪い合いというのが定番だったりもしますが。
なんらかの勝負事を時間をかけて(複数の手順を丁寧に描写しながら)行い、その駆け引きによって勝者を決するものは、全てこれに該当します。これは暴力に限らず、技能や論理──例えば料理対決だったり、探偵が犯人を謎解きで追い詰めたり──であることもあります。

PC がどのようにして障害を乗り越えて活躍するのが。そうした蓄えが多いほど、ゲームシステムに多彩な表現力を持たせられるようになります。どんなタイミングであれ、可能であれば思いついたらメモをとっておけば、それはあなたの財産になります。(シナリオのネタ帳にもなりますし)

そして登場する頻度の多い障害と、その解決能力が何かについて、よくよく検討してみましょう。その傾斜が、そのまま物語の傾向、ひいてはゲームシステムの特徴になっていきます。

4. 世界設定

世界設定とは、物語の舞台に関する詳細な設定のことです。これについては (T)RPG では伝統的に、以下のような項目から全体像を浮き彫りにする傾向があります。もちろんコレ以外にも必要と思うことは、思いつくだけ書き出しておくと良いでしょう。

  • 物語世界はどこに?(常識の設定)
  • 大まかな時代と基幹技術
  • PCの生活環境
  • PCの障害となる存在(敵対者)の名前と背景

物語世界はどこに?

その物語の舞台がどこにあるのか。まずは大まかに「現実世界のどこか」か、それとも「別の世界」かを決めてしまいましょう。これはあなたの想像する物語の登場人物たちの服装や小物、あるいは容姿などが、現実世界のそれと同じか違うか? はたまた彼らの会話内容や固有名詞を現実世界で耳にした時に違和感が有るか無いか? そのあたりからテキトーに決めてしまって構いません。

現実世界のどこか
その物語世界が現実世界のどこかであるなら、ひとまず現実世界の知識はほとんど使えることになります──もちろん次の「大まかな時代」によって、その知識にも制限が加えられたり、逆にその世界特有の要素を追加しなければならない場合もありますが。
あなたの想像する物語が、なにか特殊な、現実世界では遭遇しなさそうなものを必要としないのであれば、こちらにしておくのが無難でしょう。色々と楽できますんで(笑)
特殊例として、物語世界が「現実世界のゲームの中」のような入れ子構造になっている場合もあります。この場合も PC が現実世界の人間であるなら、とりあえずこちらに分類しておいて大丈夫です。
別の世界
その物語世界がまったく別の世界であったり、現実世界に似ていても大きく異なる要素があるなら、こちらになります。異種族がいるとか、魔法やそれに類する技術があるとか、世界が平面で星空は書き割りだとか、そういう場合は別の世界としておきましょう。
その世界ならではの常識が、私たちの世界の非常識であるなら、こちらにしておく方が無難です。いちいち理由を考えなくても「異世界だから」で通せますから(笑)
なお、別世界の場合、テキトーに固有名をつけるとそれっぽくなりますが、自分の世界に固有の名前をつける必要がなければ、わざわざ名前なんて付けないという考え方もあります。この辺は雰囲気で。

大まかな時代と基幹技術

大まかに、その物語世界はどんな時代でしょうか? これは「古代」とか「中世」とか「現代」とか、歴史の授業で習ったような大雑把な分類で構いません。また剣と魔法のファンタジーでは「中世ヨーロッパといいつつ文化や政治は近世じゃねーか」みたいな話もありますが、大雑把なイメージが伝われば充分です──もちろん文化や政治がゲームの中核になるような物語であるなら、ちゃんと調べておいたほうが良いでしょうけど。

基幹技術というのは、その世界を支えてる重要技術のことです。大抵の場合、現代以前の時代であれば「科学」か「魔術」かに二分されたりします──より詳細に「蒸気機関」とか「魔法科学」とかになったりもします。それ以降の、近未来あたりだと「サイバーパンク」や「バイオパンク」あたりに、より未来の SF 世界を舞台にしている場合は、なにか特殊な基幹技術を発明しているはずです。

なお、基幹技術については、もっとぶっ飛んだユニークなものもあります。なんでもカードバトルで解決できてしまったり、子供の玩具のはずが言葉一つで自在に動いて凄い性能を発揮したり、毎日どこかで名探偵と犯罪者が丁々発止の勝負を繰り広げていたり……そういった世界の場合、基幹技術はもっとあやふやで凄い“何か”ということもあるでしょう。

達人の物語であるなら、主人公たる PC たちは基幹技術に関する重要な技能を持っていたり、あるいは技能を持っている重要人物に近い存在であることが多いでしょう。挑戦者の物語の場合も、なんらかの手段でこうした技術の恩恵に与っていたり、それを上手く使ってみせたりするイメージがあります。

PCの生活環境

PCがどんな環境で生活しているのか。PCの立場でも考えたことですが、これは物語の開始地点だったり、PCの社会的な立場とそれによる制限や特権だったりに関係します。何かしらの組織に所属しているなら、その組織のバックアップを受けることが可能かもしれません。また逆に敵対者や支配者の監視下にあるなら、強い制限を受けることも有るでしょう。

まあこの辺は、あなたの想像する物語に関係しない限り、大雑把で構いません。あとで何か思いつくかもしれませんし、思いつかなくてもユーザが考えてくれることはよくありますので(笑)

PCの障害となる存在(敵対者)の名前と背景

敵対者の存在は、物語の筋立てを明確にする上で重要なものです。名前については、単に「モンスター」や「魔物」だけの場合もあれば、なんらかの組織名であったり、「魔王〇〇」みたいな個体名である場合もあるでしょう。

彼らがなんで PC たちに敵対しているのか? このあたりは今すぐに決められなくても、色々と考えながら後で思いつくかもしれません。まあ最後には決める必要がありますので、今決められなくても「決めなければならない項目がある」ということは覚えておいてください。

ここまで

ひとまず〈世界観〉作りについては、これくらい決められたら充分です……いや実際にはちょっと過剰かもしれませんが、最終的には考えておく必要があることばかりだと思いますんで。

ここまで大雑把にでもイメージが固まったら、次はいよいよゲームシステムの仮組みが始まります。

といったところで今回はここまで。