[note] ゲームシステムを自作する遊び。(3):〈世界観〉作り(2)

(T)RPG の遊びの一つに「ゲームシステムを自作する遊び」があって、でもその方法ってあんまり語られてこなかったよね? じゃあ実際にゲームシステムをどうやって作るの? という話。

の、第6段。

今回も〈世界観〉について──の中から、特に「PCの立場」についてです。

〈世界観〉とは(再掲)

  1. 〈世界観〉
    1. 物語観
    2. PCの立場
    3. 障害
    4. 世界設定

あなたがゲームシステムを自作したいと考えるなら、この内の少なくともどれか一つについて、自分なりに作りたい要素を持っていることだと思います。ですが実際にそれをゲームに取り込むには、ゲームにしやすい形へと整形したり、逆に〈世界観〉に合わせたゲームのデザインというものを考えていく必要があります。

2. PCの立場

物語観の延長線上だったりもするわけですが、プレイヤーが担当する PC の立場をどのようなものにするのか。これも非常に重要な項目です。PCの立場は、まず以下の問いに対する答えから始まります。

  • PCは物語の当事者? それとも第三者?
  • PCはどんな行動が得意?
  • PCはどんな職業に就いている?
  • PCは普段どんな生活してる?

PCは物語の当事者? それとも第三者?

PC が物語の当事者か、それとも第三者かというのは、当然そのゲームで語られる物語のあり方に関係します。この場合の物語とは「ゲームセッションによって解決(介入)すべき状況」という意味を持ちます。ですからこれは「解決すべき状況を放置することで損害を受ける立場か否か」と問い直してもいいでしょう。

PCは当事者(直接損害を受ける立場)である
PC が直接損害を受ける立場であるなら、彼らはその状況を解決するために自発的に行動するはずです。物語は「PCがその事件に関わるのは何故か?」「PCはどのような解決を求めているのか?」「PCの望みを誰が妨害するのか?」などの問いに答えながら進むことになるでしょう。
また PC が当事者となる事情は、常に PC の能力と関係するとは限りません。そのため当事者である PC が自身で状況を打開しようとする物語は、それが可能かどうか? それ自体が問われる「挑戦者(チャレンジャー)の物語」となる傾向があります。
PCは第三者(善意の協力者)である
もしも PC があくまで第三者であるなら、その物語には PC の他に直接的に損害を受ける誰かがいて、PC たちは彼らに頼まれたり、あるいはお節介から首を突っ込む形で物語は進むはずです。当事者が部外者に頼むわけですから、そこで必要とされる能力は、何かしら特殊なものなのでしょう。
善意の第三者として事件の当事者に協力する PC たちは、自身の能力が状況の打開に有用であるから首を突っ込むわけです。有用な能力を持った PC たちが活躍する物語は、どのようにそれを実現するのか? その手並みが問われる「達人(エキスパート)の物語」となる傾向があります。

PCはどんな行動が得意?

PC が得意なこと、不得意なことというのも、そのゲームで語られる物語の内容に関係してきます。これは前述の「PCは物語の当事者? それとも第三者?」の影響を強く受けることとなるからです。具体的にはそこで語られるべき PC たちの活躍の内容に、です。これは「挑戦者の物語」と「達人の物語」の違いでもあります。

挑戦者の物語
挑戦者の物語にとって、重要なのは行動に際した意思決定です。何を目的とし、そのために何をするのかを自身で決定することが、挑戦者の挑戦者たる所以であるが故に。その意思は NPC によって裏切られるかもしれません。ですがその意思決定そのものに価値を見出すのが挑戦者の物語の特徴です。
挑戦者の物語において PC たちの得意な行動は、必ずしもゲームの内容に適したものである必要はありません。 PC の能力が解決すべき課題に適しているなら、そのゲームはより成功物語(サクセスストーリー)に近いものとなります。そして解決すべき課題と関係性の薄いものであるなら、そのゲームはより悲劇的な性質を帯びるのが一般的です。
達人の物語
達人の物語にとって、重要なのはスマートに、あるいはドラマティックに状況を解決することです。置かれた状況の中で適切な解決策を判断し、それを的確に実行、成功させることこそ達人の達人たる所以です。現れる障害の中には並の人間には困難で解決不可能なものもあるでしょう。しかしそれを解決して見せてこその達人というわけです。
達人の物語において、ゲームの内容と PC たちの得意な行動には密接な関わりがあります。彼らは持てる能力によって困難に対峙し、それを解決してみせることが期待されます。そしてその活躍に快哉を叫ぶのが、達人の物語というものです。

PCはどんな職業に就いている?

PC がある社会で生きているのならば、その社会での何らかの役割を与えられている可能性は十分に考えられます。ここで大事なことは「想定する物語のためには PC の職業は限定されるか否か」という点です。描きたい物語の内容によっては、 PC が特定の職業に就いていなければならない場合があるからです。(冒険物語ならば冒険者、学園モノなら学生や教師、非正規作戦なら特殊部隊など)

また PC がチームやパーティといった集団で行動し、役割分担をして個別に活躍する場面が想像されるならば、そうした役割の分類が整理されているかもしれません。ゲームシステムによって「ジョブ」「クラス」「スタイル」等さまざまな呼び方はありますが、そうした役割分担が明確にあるのかどうかも、考えておくと良いでしょう。

PCは普段どんな生活してる?

こうして要点に切り出してみましたが、実のところ「PCの日常」はゲームシステムを作る上で必須の要件ではありません。実際に PC の日常が必要になるのは、ゲームの中で語られる物語が日常を起点に発生するものである場合だけです。まずはその確認をしましょう。

  • 物語がどこから始まるか
    • 物語はPCたちの日常から始まる
    • 物語はPCたちの日常等は関係なく始まる
物語はPCたちの日常から始まる
PC たちの日常から始まる物語は、挑戦者の物語によくあるパターンです。それは日常の中にトラブルの種が潜んでいて、それらは PC と何らかの接点があるか、そう遠くない場所ん潜んでいるということです。こうした〈世界観〉の場合、最低でもそのトラブルの種と PC たち、それぞれとその接点に関する情報が必要になります。これらの詳細は、前者は「障害」、後者は「世界設定」で扱います。
物語はPCたちの日常とは関係なく始まる
PC たちの日常風景を必要としない物語は、達人の物語によくあるパターンです。それは何らかの事件が起きて、それに対応できる人間が PC たちしか居ない、という状況から始まります。ここで関係するのは事件と PC の持つ解決能力だけであって、普段の PC のあり方は問題にされません。こうした〈世界観〉の場合、起こりうる事件とその犯人、そして事件解決のために PC が行動する活動範囲(舞台)についての情報が必要となります。こちらも前者は「障害」、後者は「世界設定」で扱います。

物語がPCたちの日常とは関係なく始まるのであれば、この先の話は必要ありません。次回更新予定の「障害と世界設定」をお待ち下さい。

物語がPCたちの日常から始まる場合、そのイメージを掘り下げていくことにしましょう。それでは次の質問です。

「その物語の主人公(PC)は、普段どんな生活をしていますか?」

この問いにすぐに(あまり時間をかけずに)答えられるかどうかは、意外と重要なことです。おっと、それほど詳しく答える必要はありません。「学校に通ってる」とか「探偵をしている」だけだって全然構わないのです。まずはイメージできるかどうか。そこから問いは展開されます。

  • 「その物語の主人公(PC)は普段どんな生活をしていますか?」
    • PCの日常生活のイメージができるか?
    • そのイメージは一つだけ? それとも複数ある?
PCの日常生活のイメージができるか?
PC の日常生活のイメージがあるなら、挑戦者の物語と達人の物語、どちらも可能性があります。しかし PC の日常生活のイメージがないのであれば、選べるのは達人の物語だけです。
PCの日常生活のイメージは一つだけ? それとも複数ある?
日常生活のイメージの数はそのまま、許容できる PC =物語の登場人物の多彩さにつながります。そのイメージはキャラクター自体を入れ替えたものか、それとも一人のキャラクターの異なる場面か。年齢や性別、職業などどのようなバリエーションが有るかを整理しておきましょう。