[note] ゲームシステムを自作する遊び。(3):〈世界観〉作り(1)

(T)RPG の遊びの一つに「ゲームシステムを自作する遊び」があって、でもその方法ってあんまり語られてこなかったよね? じゃあ実際にゲームシステムをどうやって作るの? という話。

の、第5段。

今回から3回ほど、ゲームシステムを作りたいと思った人の多くがまず考えるだろうゲームのカラー──即ち〈世界観〉についてです。

〈世界観〉とは

〈世界観〉については「ゲームシステムを自作する遊び。(1):構成要素」で、下記の 4つの項目に分けて説明したとおりです。

  1. 〈世界観〉
    1. 物語観
    2. PCの立場
    3. 障害
    4. 世界設定

あなたがゲームシステムを自作したいと考えるなら、この内の少なくともどれか一つについて、自分なりに作りたい要素を持っていることだと思います。ですが実際にそれをゲームに取り込むには、ゲームにしやすい形へと整形したり、逆に〈世界観〉に合わせたゲームのデザインというものを考えていく必要があります。

1. 物語観

そのゲームシステムで遊ばれる世界で、どのような物語が語られるべきなのか。構成要素の解説では例としてジャンル分類を挙げましたが、実際にはもっと細かく、ジャンルの中でもパターン、フォーマットについてもある程度細かく考えておいたほうが良いでしょう。極端なことを言えば、たった一つの物語でもよいのです──あなたの作るゲームシステムが、その物語を遊ぶためだけのものであるなら。

どんな物語であれ、それを (T)RPG として遊ぶのであれば、以下の要素については考えておく必要があります。

  1. 物語の決着をつけるのは戦闘か否か
  2. 物語を語るのは誰か

物語の決着を付けるのは戦闘か否か

(T)RPG はその出自を戦争シミュレーションゲームに持つことから、戦闘行為による決着という様式美(セレモニー)を好むところがあります。実際、ほとんどのタイトルがそのルールシステム内に戦闘ルールを持ち、シナリオ内で最低 1 回、古いタイトルでは 2-3 回の戦闘(遭遇)を想定した設計になっています。

これはその〈世界観〉における「死」や「敗北」の扱いとも関係してきます。戦闘行為といえば普通は命のやり取りをイメージします。しかし〈世界観〉によっては──たとえば『ドラえもん』のような世界であるなら──戦闘といっても子供の喧嘩のようなもので、生き死にに関わるほど重篤な怪我をしたり/させたりはしないかもしれません。相手が死ぬ場合と死なない場合で、物語をどう決着させ、一件落着とするのかは大きく変わるはずです。

物語を戦闘によって決着させるとしても、物語を決着させる戦闘がどのようなものなのかは、ルールシステムに大きく影響することとなるわけです。

また物語を戦闘行為によらず決着させるのであれば、どのような形で決着させるのかについて考えておく必要があります。物語の決着は、参加者の誰もが──少なくとも過半数が──納得できるものでなければなりません。たとえば──

タイムオーバー
何らかの理由により狂騒の時間は過ぎ去った。これより物語は粛々と閉幕を迎えるだろう。
介入不能
敵 or 目標はあなたの手の届かないところへ去っていった。この騒動にも終わりを告げるときが来たのだ。

──といった感じで。どのような形で納得してもらうのか、そのあたりが思案のしどころとなります。

実際、戦闘に頼らずとも物語を決着させているストーリーコンテンツはいくらでも存在します。ただしその多くは戦闘という物理的な暴力に拠らない競技(コンテスト)を行っています。戦闘で勝ったから/負けたからといった形でなしに、参加者が物語の決着を受け入れるためのセレモニーをどうするかは、決着を戦闘によらない物語の大きな特徴となります。

物語を語るのは誰か

物語、特にその筋立てとなるストーリーを誰が語るのか? これもまた大きな課題です。何故かと言うと、プレイヤーがどのようにその世界の物語に関わるのかが変わってくるからです。これには現在、大きく分けて3つの手法が存在します。

  • 物語はゲームマスターが語る
  • 物語はシナリオが語る
  • 物語はプレイヤー全員で語る
物語はゲームマスターが語る
3つの中で一番古いと思われるのが、この手法となります。これはプレイヤーは PC を介した行動を提案し、その行動による結果を、ゲームマスターが物語として語る、という遊び方です。物語は PC の行動の結果として積み重ねられた結果であり、それがどのような姿となるのかはゲームマスターの腕次第となります。
ゲームマスター個人がある程度〈世界観〉を把握していれば、判断基準は安定したものとなるため、迷宮や大自然などの冒険、ロードムービーのような旅など、断続的な出来事によって語られる物語観に向いています。その半面、ヒューマンドラマのような構成力を求められる物語の安定感は、いまいちになります。
物語はシナリオが語る
この手法は、シナリオで予め物語の筋立て(ストーリーライン)を決めておき、ゲームマスターはシナリオどおりに物語を語ります。そしてプレイヤーはその中で、シーン毎の目的を達成する作劇とミニゲームを繰り返す、という遊び方です。予め用意された物語の中、プレイヤーは PC を、ゲームマスターは NPC を介し、物語の場面を作り上げることに遊びを集約した手法です。
シナリオでストーリーラインが決まっているので、シーン同士を関連付けて一つの物語を構成することができます。そのためヒューマンドラマのような物語に適しています。ただしプレイヤーはシナリオが提案する枠内でしか行動できないため、発想力によって、自由な振る舞いに価値のある旅や冒険といった物語には工夫が必要となります。
物語はプレイヤー全員で語る
これは主に海外のインディーゲームで見られるようになった手法です。シナリオは最初の状況と、幾つかのルールを定めるにとどまり、あとはプレイヤーが順番に(あるいは思い思いに)ゲームの現状から続くだろう次の状況を語り、それを連ねて一つの物語を作り上げるという遊び方です。
より即興劇の要素が強く、ストーリーが形になるかどうかは完全に参加者次第となります。そのためゲームシステムの段階で語れる物語の内容に方向性を与え、空中分解しないように工夫が必要です。ユーザに物語感を理解してもらい、想定したように遊んでもらうためには、他の手法よりも語れる物語の傾向を絞り込まなければなりません。場合によっては一つのシナリオで遊ぶことを想定した、ワンオフ型のゲームシステムも考えられます。