[note] ゲームシステムを自作する遊び。(2):制作手順

(T)RPG の遊びの一つに「ゲームシステムを自作する遊び」があって、でもその方法ってあんまり語られてこなかったよね? じゃあ実際にゲームシステムをどうやって作るの? という話。

の、第 4 段。

さて、これまで「既存のゲームシステムを好きなように改造する」話と「ゲームシステムの成立に必要な諸要素」について話してきたわけですが。

今回は「実際にどこから手を付ければ良いのか」について、自分なりの経験則についてちょっと書いておこうと思います。

ゲームシステムを作る手順

それではゲームシステムを作る手順ですが。

大まかにプロセスを分けると、自分は以下の手順で作っています。

  1. ひたすらアウトプット
  2. イメージを整理する
  3. 必要なパーツを選ぶ
  4. QSKを作る
  5. 調整する
  6. ルールブックを書く
  7. ルールブックを作る

ひたすらアウトプットする

最初にやることはいつも同じです。それは新しいノートを一冊と書きやすい筆記具を用意することです。

そして作りたい/遊びたいゲームのイメージを、その新しいノートにひたすら書き出していきます。どんな物語を語りたいのか? 誰が主人公になるのか? どんなキャラクターが活躍するのか? だれが敵でだれが味方か? 守るべきものはなにか? 倒すべきものはなにか? 何を手にしてどのように戦うのか? どんな見せ場が有るのか? そしてどのように決着するのか? etc…etc…

内容を整理したり吟味したりする必要は一切ありません。実際に形に出来るかどうかなんて後回しです。ここでは書き出した内容が矛盾していても構いません。とにかく自分のイメージをアウトプットしてゆく。強いて言えば、後で見直しやすいように項目ごとに1行空けて書くようにする。それだけです。

この工程、脳内にイメージがあれば別にいいじゃんと思うかも知れませんが、個人的には結構ウェイトが大きいと思ってまして……なんでかというと、言語化出来るかどうかというのは、こと (T)RPG という遊びにとって非常に重要な分水嶺だから。

あ、そうそう。このアウトプットはすぐ使いますんで、書き殴っても構いませんが読める程度の字でお願いします(笑)

イメージを整理する

ひとまず満足するまでアウトプットしたら、今度はその書き出したイメージを整理していきます。

整理の方法はいくつかありますが、大雑把に近いものにまとめていくのが手っ取り早いと思います。前回の諸要素あたりを目安にすると良いかと思います。ええ、もちろん『化石的ゲームマスター読本 1』で整理した分類でも構いません(笑)

分かりやすいところではゲームのジャンルあたりでしょうか。「ファンタジー」とか「ホラー」とか「現代異能」とか「SF」とか、ざっくりしたところから始めます。出来れば「出逢いと離別れの現代異能」とか「星々を旅するロードムービーSF」「感染する狂気から逃げるモダンホラー」「廃墟に恋するファンタジーメルヒェン」みたいに絞り込めると良いかもですが、イメージがとっ散らかっていると絞り込めないこともあります。それはそれで構いません。

場合によっては使うサイコロ(ランダマイザ)やルールシステムの方から整理していくケースもあります。その辺は好みだったり目的だったりで色々です。これもまた、思いついた順に整理してメモしていきます。

必要なパーツを選ぶ

さて、作りたい/遊びたいゲームのイメージがある程度まとまってきたら、そろそろゲームシステムを仮組みしていきましょう。この段階ではまだ仮組みですので、気負わず気楽に進めていきます。具体的には、ルールシステムを決めていきます。

自分のイメージをゲームシステムという一つの機構に仕立て上げるために、とりあえず似たものを探します。既に出来上がったものがあるのに、わざわざゼロから部品を作る必要はありません。イメージに近いゲームシステムを探しましょう。

(T)RPG が生まれてからそろそろ半世紀。これまでに発表されたさまざまなタイトルが、結構な範囲をカバーしてくれています。探してみると、似たようなテーマを扱ったタイトルが見つかることは少なくありません――ただし古いゲームシステムは今のゲームシーンに合わなかったり、ブーム期に作られた粗製乱造品だったりすることもあるので、大改修が必要になったりしますが。

あまり多くのゲームシステムを知らない/持っていない/探せない場合は、単に自分が慣れ親しんだゲームシステムを持ってくるのでも構いません。遊び慣れたゲームシステムなら、それで何が出来るか、出来ないかの判断はしやすくなります。それに実際に遊んだらどうなるかのシミュレーションもしやすくなります。慣れ、というのは馬鹿にできないものです。

ここで既存のゲームシステムを見返しながら、自分がやりたいことが出来るか出来ないか。足りないものはなにか、余計なものはなにかを考えていきます。既存のタイトルを改造するだけで遊べてしまうかもしれません。改造で済むなら(そしてそれで自分が満足できそうなら)それでも全然 OK です。大事なことは、自分が遊びたいゲームを調達することなのですから。

……もちろんイメージに近いゲームシステムが見つかっても「でもなんか気に食わない」という場合もあるので、その場合は別モノになるまで大改修する覚悟を決めましょう。

どんなものでも「自分の好みに合う (for me) /合わない (not for me)」ということはあります。それは判定系で使用するサイコロだったり、高レベルにならないと使わないようなマイナーな判定だったり、人によっては気にもしないような世界設定の一部だったりと色々ですが、なんであれ「なんか気に食わんなコレ」ということはあるもんです。そしてその細かな違いが大きなイメージの差につながっていることもまた、よくあることだったりします――それこそ「神は細部に宿る」なんて言葉もあるくらいで。

そういう「似てるけど気に入らないもの」は適当につまみ食いするか、遠ざけちゃって構いません。ゲームシステム作りは情熱勝負です。ぶっちゃけ「俺の好きなものを詰め込んだるんじゃい!」という熱意が続かないとやってられません。なので我慢は厳禁。ノイズは極力取っ払っていきましょう(笑)

QSK を作る

ここまででひとまずルールシステムの大枠が出来たら、ここで QSK を作ります。

QSK というのは Quick Start Kit の略で、「とりあえず遊ぶために必要なもののパッケージ」のことです。具体的には以下を揃えたものになります。

  • 1本以上のシナリオ
  • そのシナリオを遊ぶために必要なルール
  • すぐに遊べる完成済みキャラクターシートを一揃い

実際に遊べるものを作るのは、それによって実際のセッション風景のイメージをより強固にするためだったり、見落としがちな細部の確認をするためだったりします。

こうして作った QSK は、できれば気心知れたメンバーに声をかけて遊んでみると良いでしょう。この段階では自分が何をしたいのか、どんなゲームを作りたい/遊びたいのかを参加者に説明しながら、場合によっては要望をぶっちゃけながらプレイします。

場合によってはあなたはここで満足するかも知れませんし、その結果として、この先に進むのは億劫だと考えるかも知れません。それならそれで構いません。ゲームシステムを自作する遊びは、あくまで自己満足が最大の目的であり報酬です。満足できればそれで OK です……正直な話、そもそも実際に遊べるところまでこぎつけたのなら、あなたは相当な努力家と認められるでしょう。多くの場合、この工程に到るよりもずっと前に投げ出している人が大半ですので(笑)

QSK は足りないものだらけなので、セッションの場では不満が残ることも少なくありません。参加者はアレコレ要望を出してくることでしょうし、これ幸いにとワガママを言ってくる場合もあります。それらはノートに書き足しておくなり、自分なりに解釈して盛り込んでみるなり、全く無視するなりすれば OK です。

ここで貰えた感想を燃料に、残りの工程を乗り切りましょう(笑)

調整する

ここまででひとまずルールシステムの大枠の形が出来たら、少しずつ形を整え、イメージに近付けていきます。

……この工程がとにかく奥が深くて、どこまでやってもいつまでやっても終わりが見えなかったりもするのですが、とりあえず自分なりに「これでセッション 1 回分遊べる」というところまで後日また改めて記事を書くと思います。

ルールブックを書く

ここまで来たら、あとはひたすらテキスト作成の工程です。既存のゲームシステムを参考に、ルールシステムを文書化し、〈世界観〉を文章化します。

この工程がとにかく大変なのです。誤解されないルールテキストを書くには、それなりの技術が必要だったりします。なので既存の(特に商業製品の)ゲームシステムのテキストを参考にすることになるのですが、その際には丸コピ(複写、転載)にならないように注意しましょう。この「自分の言葉に言い換える」という作業が何気に骨の折れるものなのです。 1)同言語間の翻訳ですらこれなのだから、異言語間の翻訳作業たるや、想像するだに恐ろしい……!

基本的な注意としては、長文にしないこと。一文の中で複数の反語を使わないこと。解説文はプレイヤーを当事者とした視点に固定すること。などがあります。

ルールブックを作る

ここまで来たなら、あとは膨大な労力を費やして書き上げたルールブックをまとめ、誌面にまとめるだけです。

紙書籍ならコンビニのコピー機で量産してステープラーで止めて背表紙テーブで体裁を整えたり。あるいは同人誌として印刷所に発注できたら素敵ですね。

電子書籍なら PDF や ePub 形式で。この辺はきっちりしようとすると、めっぽうお高い InDesign が必要になったりするんですが、最近は PDF 生成ツールとか色々ありますんで、無料でもやりようによっては綺麗なものが作れると思います。

あるいは PC のブラウザ上で閲覧できるようにまとめるという方法もあります。インターネット黎明期には Web 上の個人サイトに自作のゲームシステムをアップしている人も多かったですし、近年でも電子ルールブックとして HTML ファイルのセットを頒布されてる方もいましたし。

なんにせよ、自分が手間ひまかけて作ってきたものが、きちんとそれらしい形になった時の感動というのは、ちょっと他では味わえないような破壊力があるものです。(感想には個人差があります)

ですので、もしゲームシステムを自作する遊びに挑戦されたなら、一度でいいからこの感動を味わってもらいたいなと思ったりします。

そして出来ることならその勢いで二作目にトライしてもらってですね……(笑)

……てなトコロで

今日はここまで。次回は「調整する」のプロセスか「ルールブックを書く」のサポートか、大体そのあたりになるかと思います。

まあ毎度のことながら予定は未定なんですが。

今回はほとんど勢いだけで書いてしまった……まあでも「これなら自分でもやれるんじゃないか?」と思ってもらえたら幸い。なんか思いついたらアウトプットしといて、書き溜まってから動き出すとかでも全然オーケーですので、ぜひ一度試してみてください。

自分のイメージを形にするの。楽しいですよー(笑)

References   [ + ]

1. 同言語間の翻訳ですらこれなのだから、異言語間の翻訳作業たるや、想像するだに恐ろしい……!