[note] ゲームシステムを自作する遊び。(1):構成要素

(T)RPG のゲームシステムを自作する遊びについての話。

前段のエントリと合わせて、これが第3弾ということになります。(第0回相当のアレはちょっと毛色が違うので)

今回はゲームシステムを構成する要素と、それぞれの関係についてザックリ自分なりの考えを説明しときます。

ゲームシステムの構成要素

ゲームシステムの構成要素については、本シリーズの第1弾「ゲームシステムを自作する遊び。の前に(1)」で、以下のようなツリーに整理しました。

  1. ルールシステム
    1. 各種データ
    2. 成否判定
    3. 資源管理
    4. セッション運営
  2. 〈世界観〉
    1. 物語観
    2. PCの立場
    3. 障害
    4. 世界設定

ゲームシステムを設計していく際には、大まかにこれらの要素がキチンと揃っているかどうかを確認することになります。2019年現在において (T)RPG のゲームシステムとして認められるには、これらの要素は不可欠だろうと考えるためです。 1)ただしこれら要素は時代によって拡張、整理されてきた歴史があるため、過去のゲームシステムに欠けた要素があったからと言って批判できるものでもない。たとえば前世紀のゲームシステムに「セッション運営」の要素は必須条件ではなかったし、場合によってはそれを持つことで「ボードゲーム」に分類されていたかも知れない。

ただこのツリー自体は、必ずしも正しいとは言い難かったりします。というのも実際に設計し、また運用していく中で、両者は互いに強く関係しているためです。

今回はまず諸要素の内容について整理していきます。

用語定義

define: 〈ゲームプレイ〉
ゲーム参加者がゲームの状況を自身の希望するものへ変更するための(介入)行為のうち、特にゲームシステムで定められたルールに則ったもの。多くは自身の担当するキャラクターを介して行われる。

ルールシステムとは

ルールシステムとは遊び方のルール、またそれに付随するデータを包括したものです。

主に数理系の要素であり、ルールシステムで定義された事柄は原則、ゲームを遊ぶ上で厳守されることを想定します。(ゴールデンルールなど上位概念で上書きされるケースもありますが、その場合も可能な限り事前に開示し、ゲームを遊ぶ際にはルールシステムの一部として全参加者間で共有されることが望ましいと考えます)

プレイヤーによる介入の要素が少なく、ほとんどのゲームシステムで管理はゲームマスターに一任されるものです。

各種データ

該当項目例
種族、氏族、職業、クラス、属性、能力値、技能、特技、魔法、パワー、スキル、テクニック、武器、防具、装飾、装備品、価格、重量…

ルールシステムで取り扱うパラメータ、及び複数のパラメータを内包するパッケージがこれに該当します。各種判定に必要となるもの、または資源管理に必要となるものが大半を占めるでしょう。

パラメータのパッケージとは、たとえば PC や NPC であったり、武器や防具といった戦闘用のデータ、またキャラクターの行動能力を表すスキル(技能、特技、魔法、パワー等)などです。

成否判定

該当項目例
成功判定、一般行為判定、技能判定、命中判定、防御判定、セービングロール、セービングスロー、ジャッジ、ドッジ、コンテスト…

成否判定とは、参加者の〈ゲームプレイ〉を直接ゲームの状況に反映するか否かを裁定するルールです。

(T)RPG では〈ゲームプレイ〉の結果をどのようにゲームの状況に反映するか、その最終決定権はゲームマスターにありますが、成否判定には〈ゲームプレイ〉の都度にゲームマスターが裁定結果に悩まずに済むようにしたり、想定外の状況を生み出してマンネリ化を防ぐなど、さまざまな効果が期待されます。

資源管理

該当項目例
HP、LP、MP、SP、TP、AP、ヒーローポイント、ダメージ判定、生死判定、所持金、経験点…

ルールシステム内で定義された資源(リソース)を管理するルールです。多くは戦闘ゲームに関するもの、たとえばダメージを受けた際の HP の処理や、魔法などによる MP の消費などが該当します。近年ではセッション運営に際して手番や行動力などの資源管理を行うものもあります。

ここでいう「資源」とは、前述の「各種データ」のうち、主にキャラクターの生命力や精神力、行動回数などの可変型パラメータのことを指します。また所持金、食料などもこれに含まれます。

資源の獲得や喪失、資源の量の変化に対して起こる様々な状況の変化をルールで定めたものです。資源の種類によって、その意味は様々です。たとえば所持金は 0 になっても即座に影響は発生しませんが、生命力が 0 になったキャラクターは、多くのゲームシステムで大変不幸な状況に陥るでしょう!

セッション運営

該当項目例
ターン、ラウンド、シーン、サイクル、フェイズプロセッション…

セッションを運営する上での様々なルールです。基本的には (T)RPG の野放図なゲームプレイを手順化することで、ゲームへの参加を公平なものにしたり、シナリオ通りにゲームを運営できるようにする等、目的に合わせて設計されています。

セッション(シナリオ)をより細かな単位(シーン、フェイズ等)に切り分け、個々の単位に対する参加者の参加権を設定するものが一般的です。

〈世界観〉

〈世界観〉とはゲームの傾向、ゲームの舞台のあり方、ゲーム体験で得られるものなどの傾向を包括したもののことです。ルールシステムとは異なり、厳格な法則性はありません。しかし〈世界観〉は、そのゲームに「かくあるべし」という方針を指し示し、ゲーム体験を最大化するために必要です。

物語観

該当項目例
冒険活劇、成功物語、成長物語、探偵物語、恋愛物語、戦記、特殊作戦、群像劇、政治劇、喜劇、悲劇…

物語観とはそのゲームで扱う物語のジャンル、またそのゲームセッションで語られるべき物語の傾向です。どのような世界の中で PC に何が期待されるのか? それによりセッションを通じてどのような物語が語られるのか? 物語観とは、そうした事柄を指します。

テキストとしては「はじめに」「インストラクション」「ワールドガイド」などの項目で扱われます。

PCの立場

該当項目例
年齢、性別、冒険者、探索者、旅人、異能者、超能力者、魔術師、超人、学生、社会人、異種族、悪魔、天使、妖怪…

PC の立場とはそのゲームの舞台となる世界において、社会的に期待される立場のことです。 (T)RPG のセッションでは原則として、 PC は社会的に期待される立場に沿って行動することになります。

PC の立場は一つとは限りません。むしろ二つ以上の立場の兼ねることで、 PC 全体に一つの方向性を示しつつ、個々に個性的な振る舞いを許容することも可能となる……という考え方もあります。ただし立場が個性的であるほど、プレイヤーの負担となることもあります。

障害

該当項目例
モンスター、エネミー、トラップ、オブジェクト、ワールドガイド…

障害とはその名の通り、 PC が活動する上で障害となるもののことです。

ルールシステムで記述されるデータとしてだけでなく、ゲームの舞台の中で、社会的な障害(足手まとい等)となりうるものもあるでしょう。

世界設定

該当項目例
ワールドガイド、種族、職業、性別、年齢、社会制度、生活、通貨、装備品…

世界設定とはそのゲームの舞台となる世界の具体的な設定のことです。(流石にこの辺の説明は要りませんよね)

諸要素の関係性

これら諸要素は、それぞれ独立したものでありながら、実際には相互に強く関係しています。

ですから既存のゲームシステムから一つの要素を改造したとしても、その後、ゲームのイメージを強めていく過程でその他の要素との関係性を見直し、細かく調整を繰り返してゆくと、よりイメージどおりのゲームシステムを作ることが出来るようになります。その繰り返しで、やがて元になったゲームシステムから乖離し独立した、あなたのオリジナルと言えるゲームシステムが生み出されるのです。

例:物語観の関係性

たとえば物語観に目を向けると、テキストとしては前述の項目に記載すべき内容ですが、実際には繰り返し遊ばれる中で、ゲームデザインの全ての要素から総合的に評価されることとなります。

ゲームの中で PC が強敵と対峙した時、全力で立ち向かうことが望まれるのか、それとも逃げることが推奨されるのか。また立ち向かったとして劇的な勝利が得られるのか、泥にまみれた辛勝を得るのか、下馬評通りに負けるのか。これはルールシステムと無関係ではいられません。

ゲームシステムを手に入れたユーザは、まず物語観に沿ってゲームを遊びますが、ルールシステムがそれを後押ししてくれるのか、それとも邪魔するように機能してしまうのかで、その時のゲーム体験は評価されるでしょう。

といったところで

ざっくりした説明になったり尻切れトンボになったりでしたが、今回はここまで。

ぶっちゃけこれだけでも結構疲れるモンなので(^^;

次回はゲームシステムを自作する上で、一番厄介なルールシステム作りの補助輪となるオープンソースのテキストや、既存のルールシステムの換骨奪胎について紹介……に、なるかな? なんか思いついたら別の内容になるかもしれません(笑)

References   [ + ]

1. ただしこれら要素は時代によって拡張、整理されてきた歴史があるため、過去のゲームシステムに欠けた要素があったからと言って批判できるものでもない。たとえば前世紀のゲームシステムに「セッション運営」の要素は必須条件ではなかったし、場合によってはそれを持つことで「ボードゲーム」に分類されていたかも知れない。